ようりん(熔リン、熔成燐肥)は、リン酸と石灰を含むリン鉱石、珪酸(けい酸)と苦土(マグネシウム)を含む、けい酸苦土含有の鉱さいです。砂状、粒状、さらにホウ素・マンガンの入ったBMようりんがあります。
この記事では、土づくりの肥料として優秀な「ようりん」について、詳細を解説します。
ようりん(熔リン)とは
ようりん(熔リン)は、リン酸と石灰を含むリン鉱石、珪酸(けい酸)と苦土(マグネシウム)を含む、けい酸苦土含有の鉱さいです。熔融方式によって製造されるリン酸肥料の総称とも言えます。
形状は複数あり、砂状、粒状があります。さらにホウ素・マンガンの入ったBMようりんがあります。
ようりん肥料の詳細と特長
ようりん肥料の一般的な製造方法は以下のとおりです。
- 燐鉱石に蛇紋岩(苦土、ケイ酸源)を混合して、炉で熔融する。
- 融液を高圧水流中に流し込んで、急冷する。
- 乾燥させることで製品とする。
ようりん肥料は以下のような特長があります。
- リン酸、ケイ酸、苦土、石灰がバランスよく含まれているので、稲作の水田における土づくり肥料として重宝されている。
- ようりんに含まれるリンの成分は「く溶性リン酸」で水に溶けにくく、植物の根や微生物が分泌する根酸(有機酸)、炭酸水などによってゆっくりと溶け出して植物に吸収される。
→く溶性リン酸、可溶性リン酸、水溶性リン酸の違いについてはこちら - アルカリ分50%が保証され、弱アルカリ性として酸度を矯正する。矯正石灰質肥料と比べて土壌の酸度を緩やかに矯正することができる。
その他の特徴としては以下が挙げられます。
- リン酸、苦土、石灰が稲わらなどの有機物の分解に必要な微生物の栄養源となるため、有機肥料の肥料効果の発現が増進される。
- 熔リンは肥料分類のおいて「リン酸質肥料」と分類されるが、苦土(マグネシウム)、珪酸(ケイ酸)を含むため、それらを期待して施用するのもおすすめである。
- 酸性土壌、火山灰土壌での施用に適している。
- 肥料焼け(塩類障害)が起こりにくい。
- 無硫酸根肥料(肥料の副成分として硫酸根を持たない肥料)であるため、硫化水素などが発生しない。
- 肥効(肥料の効果)がゆっくりであるため、基本的には元肥で使用する。
- く溶性のため、河川等への流亡が少なく、環境にやさしい肥料である。
BMようりん肥料の詳細
BMようりんは、ようりんにマンガン、ホウ素を含ませたものです。製造方法はほぼ同様ですが、燐鉱石、蛇紋岩、さらにマンガン鉱石、ホウ酸塩を加えて溶融し冷却乾燥したものとなります。
BMようりんの特長は以下のとおりです。
- ようりん肥料と同様の特長を備えている。
- マンガン、ホウ素欠乏地帯の土壌に施用すると効果的である。
- アルカリ分45%が保証され、弱アルカリ性として酸度を矯正する。矯正石灰質肥料と比べて土壌の酸度を緩やかに矯正することができる。
- BMようりんは、水田よりも畑作物や果樹でより効果が出る肥料である。
ようりんの施用
ようりんは、一般的に元肥として使用します。水稲の場合は、収穫後もしくは春の代掻き前に施用したりします。畑作の場合も土作りのときに施用します。
施肥量などは、購入した商品や土壌の状態に合わせて検討するとよいでしょう。
ようりんの施用におすすめの作物
ようりんは、水田での稲作、野菜栽培などの畑作、果樹など、幅広く使用することができる肥料です。
ようりん肥料は稲作におすすめ
ようりん肥料の施用は、稲作におすすめです。主な理由は、以下のとおりです。
ケイ酸が多く含まれている
ようりんには、ケイ酸が20%以上保証されています。ようりんに含まれるケイ酸は、石灰や苦土と弱い結合で結びついているので、結果的によく溶けます。また、ケイ酸と苦土が共存することで作物により吸収されやすくなります。
ケイ酸が作物によく吸収されて茎や葉などの表面にけい化細胞が形成されます。結果的に倒伏、冷害等に対する抵抗力を高め、副次的効果としてイモチ病にかかりにくくなります。
食味が向上する
ようりんの施用によって米の品質が上がった例もあります。長年ようりんを施用している水田の米と、施用していない米について、各種成分の分析及び食味の測定をすると、ようりん施用ありの水田の米のほうが食味値が大きくなった箇所が増えたという結果もあります(出典:ようりん JA全農)
一般的に、米のうまみには玄米中の窒素含量が大きく影響し、窒素含量が多いとまずいと言われてきました。ようりん施用によって、ようりんからのリン酸、苦土、ケイ酸に加えて、石灰、微量要素などが供給されることで、窒素含量が低下し食味が上がったのではないかと推測されます。
畑作・果樹にはBMようりんがおすすめ
畑作・果樹にはBMようりんがおすすめです。BMようりんには、ようりんの保証成分のほかホウ素やマンガンが多く含まれているので、果菜類や果樹類などの畑に施用することでその効果を実感しやすくなります。
また、ようりんはリン酸の含有量が高いので、リン酸の要求量が多い作物(テンサイ、タマネギ、草地など)の元肥として使用するのが適しています。
ようりん肥料の購入場所
家庭菜園等で使用する肥料は、ホームセンター、100均、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。プロ農家の方は、JAや資材店等に相談すると良いでしょう。
参考:く溶性リン酸、可溶性リン酸、水溶性リン酸
リン酸には、く溶性、可溶性、水溶性のものがあります。それぞれ特性が異なります。
く溶性のリン酸
水に溶けにくく、2%クエン酸溶液に溶けることを指します。根から出る根酸程度の酸ではゆっくり溶け出すので、ゆっくりと効く(緩効性)特性を持っています。有機肥料に含まれるリン酸は、く溶性であることが多いです。
可溶性のリン酸
根から出る根酸程度の酸でよく溶け出します。可溶性の定義は、水には溶けないが0.5mol/Lの塩酸に溶けるものを指します。く溶性リン酸よりは早く溶け出して効きますが、水溶性リン酸よりはゆっくりと効きます。水溶性リン酸も可溶性なので、可溶性リン酸の中に含まれます。過リン酸石灰(過石)などに含まれます。
水溶性のリン酸
水に溶け、最も速効性の高いリン酸です。水溶性のリン酸は、土の固定作用を受けやすいために肥効の持続期間は短いものが多いです。現在では、直接土との接触を少なくすることで肥効を高める粒状のものが主流となっています。粒状にすることで散布しやすくもなります。
リン酸アンモニウム(燐安)や過リン酸石灰などに含まれます。