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キュウリ果菜類栽培野菜の栽培

良品が収穫しやすくなる!キュウリのつる下ろし栽培・つる下げ栽培

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キュウリのつる下ろし栽培に関する記事のバナーです。 キュウリ

キュウリは、水分が95%以上が水分であり、みずみずしさが特徴の野菜です。実は、食用とされているキュウリは未熟果のもので、品種や収穫するまでの期間に応じて、さまざまなサイズのものがあります。

夏野菜の代表的な作物として知られており、生育適温は昼間22℃〜28℃となっています。家庭菜園では、地植え栽培だけではなく、プランターや鉢植え、袋栽培でも栽培可能な作物です。プロ農家の場合は、品質と収量(収穫量)の向上のため、ハウス栽培されることが一般的です。

キュウリは、子づる、孫づるなどを各節で伸ばして果実を着けていき、適切な箇所で摘芯(摘心)する摘心栽培(摘芯栽培)が一般的です。それに対して、つる下ろし栽培(つる下げ栽培)は、特定のつる(親づる、もしくは子づる)のみを伸ばしていく栽培方法です。

この記事では、キュウリの基礎知識やつる下ろし栽培(つる下げ栽培)の基本、メリット・デメリット、家庭菜園でできるつる下ろし栽培などについて解説します。記事が長いため、目次を見て必要な部分から読み進めてください。

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キュウリの基礎知識

キュウリのハウス栽培の様子です。プロ農家はハウス栽培することが一般的です。
作物名科目原産地育てやすさ種の価格の価格(円/1粒)苗の価格の価格(円/1苗)収穫までの日(目安)栽培できる地域作型栽培方法土壌酸度(pH)連作障害発芽適温生育適温日当たり光飽和点
キュウリウリ科インド西北部、ヒマラヤ山麓★★★☆☆10円〜100円程度100円〜1,000円程度発芽から約60日全国促成栽培
半促成栽培
抑制栽培
など

露地栽培
プランター・鉢植え栽培
施設栽培養液栽培
養液土耕栽培

6.0〜7.0あり(2〜3年)25〜30℃17〜28℃日なた55klx

きゅうりは、インド西北部などアンデス山麓原産の作物です。日本では、「白イボ系」と呼ばれる緑色が鮮やかで皮が薄い品種が流通の90%以上を占めています。他にも「黒イボ系」や「四川胡瓜」「ロシアキュウリ」など世界中で500以上の品種が栽培されています。

ブルームキュウリとブルームレスキュウリの違い

単純に言うと、ブルームが発生しやすいキュウリ(品種)か、そうではないかの違いです。

「ブルーム」とは、キュウリの果実の表面に発生する白い果粉を指します。キュウリの表面が白っぽく見えたらブルームが発生しています。ブルームは、キュウリの他にスイカやカボチャといったウリ科の植物、ブルーベリーやブドウといった果樹の果実など、ケイ素の吸収が多い作物に発生します。

ブルームは、果実の水分が抜けるのを防ぐために果実が分泌するもので、食味には全く影響がないとされています。主成分は、ケイ酸(正しくはシリカ、二酸化ケイ素)でこの程度の量であれば健康などにも全く影響はありません

しかし、その見た目から「農薬が付着して残っているんじゃないか」「病気にかかっているんじゃないか」などの風評被害が起こり、ブルームが発生しづらい品種が求められました。その結果、誕生したものがブルームレスキュウリです。ブルームレスキュウリは、ケイ素を吸収しづらい台木を接ぎ木することによって、ブルームの発生を抑制しています。

ブルームキュウリであろうが、ブルームレスキュウリであろうが、安全なものは安全ですし、美味しいものは美味しいということだけ覚えておいてください。

きゅうりの品種

きゅうりにもさまざまな品種があります。地這い栽培や立体栽培など栽培方法によって、適している品種が異なりますので、知っておくと大変便利です。下記に主な品種の一覧を掲載しますので、苗や種の購入の参考にしてください。

品種タキイ種苗 VR夏すずみタキイ種苗 北進サカタのタネ 味さんごトキタ種苗 ミニQタキイ種苗 Vアーチ埼玉原種育成会 夏秋美人サカタのタネ よしなりサカタのタネ フリーダムタキイ種苗 夏太郎タキイ種苗 シャキット
向いている栽培方法立体栽培立体栽培立体栽培立体栽培立体栽培立体栽培・地這い栽培立体栽培立体栽培地這い栽培立体栽培
節成り性・飛び節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性節成り性飛び節成り性節成り性
特徴べと病うどんこ病、ウイルス病に強く、減農薬栽培が可能。家庭菜園でもおすすめ。側枝の発生が旺盛で果実が付きやすいうどんこ病、べと病に対して耐病性があり、特にうどんこ病に強い長さ約10cm、1個約40gの果実をつけるウイルス病、べと病、うどんこ病に耐病性があるべと病、うどんこ病に強く、無農薬栽培も可能べと病、褐斑病、うどんこ病に耐病性がある表面にイボがないイボなしキュウリ。
うどんこ病、べと病に耐病性がある
うどんこ病、べと病に強い表皮に細かいイボがある。うどんこ病、べと病、ウイルス病に耐病性ある
キュウリの栽培方法(仕立て方、誘引方法)には大きく2つあって、品種によって向き・不向きがある

キュウリは、品種によって、仕立て方、誘引方法が異なります。

他の果菜類と同様、園芸支柱や誘引ひも、ネットで上に誘引していく方法を「立体栽培」、誘引などをせず地面にそのまま這わせるように伸ばしていく方法「地這い栽培」と呼びます。

昨今では「立体栽培」が主流ですが、「地這い栽培」が向いている品種もまだ販売されています。地這い栽培をやる場合には、広いスペースが必要となるので注意しましょう。

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つる下ろし栽培(つる下げ栽培)とは?

つる下ろし栽培とは、数本の側枝(子づる・孫づる)を伸ばし続けていき、草丈が高くなったら下へずらす栽培手法のことを指します。一般的には、1株につき側枝(子づる・孫づる)を数本伸ばしていきます。

主にプロ農家のハウス栽培で採用されることが多く、作業のマニュアル化を図りつつ長期間安定的に収穫することができるため、つる下ろし栽培を採用する農家が増えています。何本の側枝を伸ばすか、孫づるを側枝として伸ばすかは、仕立て方によって異なります。

家庭菜園でもつる下ろし栽培は可能ですが、その場合は子づるを伸ばしていく方法ではなく、親づるをどんどん伸ばしていく方法を採ることが多いです。

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つる下ろし栽培(つる下げ栽培)のメリット・デメリット

まず、摘心栽培とつる下ろし栽培のメリット・デメリット、作業のしやすさをまとめてみましたのでご覧ください。

項目つる下ろし栽培(つる下げ栽培)摘心栽培(摘芯栽培)
メリット長期間栽培することが可能。
草勢(樹勢)が落ちにくい。
摘心栽培に比べ、良品のものを多く収穫することが可能。
摘心・摘葉の判断がしやすくなり、マニュアル化しやすい。
慣行栽培であるため、ノウハウなどが多くある。
つる下ろし作業が必要ない。
デメリットつる下ろし作業が必要。摘心・摘葉作業の判断が難しく、マニュアル化しづらい。
収穫のしやすさつる下ろしの際に、着果位置の高さを揃えることでしやすい。見逃しが発生する可能性が高い。
摘心のしやすさ判断がしやすく、機械的に作業が可能。草勢(樹勢)を見ながらの判断が必要。
摘葉のしやすさ判断がしやすく、機械的に作業が可能。草勢(樹勢)を見ながらの判断が必要。
管理作業量つる下ろし作業が必要となる分、摘心栽培に比べて作業量が増えるように思えるが、摘心・摘葉のしやすさが勝る。

つる下ろし栽培は、一見、つる下ろし作業が増えるので、作業量が増え非効率に思われがちです。しかし、作業の単純化・マニュアル化、草勢(樹勢)の安定化、光合成産物の競合減少・効率化を図ることができるので、結果的には良品のものを多く収穫しやすくなり、作業時間に対する秀品率の割合が高くなると言われています(施設キュウリの新整枝法「つる下ろし栽培」の特徴と生産安定技術)。

具体的な話をいくつか取り上げます。

作業の単純化・マニュアル化

摘心栽培は、草勢を管理・維持するため、キュウリの生長・生育をよくわかっている人しか摘心・摘葉作業ができません。一度、草勢を落としてしまうとその後の栽培に響き、最終的に収穫量にも影響が出てきてしまいます。

つる下ろし栽培の場合は、機械的に摘心・摘葉・誘引作業を行うことができます。そのため、従業員や家族といった作業者に対して指導しやすく、作業をある程度任せることができるようになります。

草勢(樹勢)の安定化

つる下ろし栽培の場合は、常に数本の強い側枝(子づるや孫づる)を確保しながら伸ばしていくので、草勢の維持が比較的容易となります。特に、低温で日照量が少ない期間の栽培にはつる下ろし栽培が適しています。

果実の付く位置と収穫作業のしやすさ

キュウリは、伸びた節に雌花を着けることによって、果実が実ります。

摘心栽培の場合は、子づるや孫づるをそのまま上や横に誘引していくことから、収穫を迎える果実の高さが一定にはなりません。

つる下ろし栽培の場合は、つる下ろし作業のときに収穫を迎えそうな果実の高さを揃えることができるので、収穫作業時に作業がしやすくなります。また、収穫適期の果実の見逃しも減り、良品の収穫量(秀品率)が増えます。

つる下ろし栽培(つる下げ栽培)に合う品種は?

つる下ろし栽培に合う品種は、「節成り性」の品種です。節成り性は、節ごとに雌花を咲かせ着果するのでつる下ろし栽培が可能です。逆に、「飛び節成り性」の場合は、子づる・孫づるを伸ばして着果させるのが一般的なのでつる下ろし栽培には向きません。

つる下ろし栽培(つる下げ栽培)の仕立て方

つる下ろし栽培(つる下げ栽培)の仕立て方は、いろいろあります。「コレが正解」というものはなく、品種や作型、地域によって仕立て方は変わります。今回は、一般的な仕立て方をいくつか紹介します。

上位4本仕立て(子づる4本)

キュウリのつる下ろし栽培における上位4本仕立てのやり方の例を示した画像です。

上位4本仕立ては、上位の子づるを4本伸ばす仕立て方です。

  • 親づる(主技)は、10〜14節程度で摘心します。
  • 子づる(側枝)は、親づるの上位節から4本選んで伸ばしていきます。その他の側枝は1節で収穫・摘心します。

中位4本仕立て(子づる3本+孫づる1本)

キュウリのつる下ろし栽培における中位4本仕立てのやり方の例を示した画像です。

中位4本仕立ては、中位の子づる3本と親づるの頂点の小づるから出る孫づる1本を伸ばす仕立て方です。

  • 親づる(主技)は、10〜14節程度で摘心します。
  • 子づる(側枝)は、親づるの中位節から3本選んで伸ばしていきます。その他の側枝は1節で収穫・摘心します。
  • 親づるの頂点の子づるは伸ばし、孫づるが出てきたら孫づるを伸ばしていきます。

下位5本仕立て(子づる4本+孫づる1本)

キュウリのつる下ろし栽培における下位5本仕立てのやり方の例を示した画像です。

下位5本仕立ては、下位の子づる4本と親づるの頂点の小づるから出る孫づる1本を伸ばす仕立て方です。

  • 親づる(主技)は、10〜14節程度で摘心します。
  • 子づる(側枝)は、親づるの下位節から4本選んで伸ばしていきます。その他の側枝は1節で収穫・摘心します。
  • 親づるの頂点の子づるは伸ばし、孫づるが出てきたら孫づるを伸ばしていきます。

上位4本+下位4本 8本仕立て(孫づる8本)

キュウリのつる下ろし栽培における8本仕立てのやり方の例を示した画像です。

8本仕立ては、上位の子づる2本、下位の子づる2本から各2本ずつ孫づるを伸ばす仕立て方です。

  • 親づる(主技)は、15節程度で摘心します。
  • 子づる(側枝)は、親づるの下位節から2本、上位節から2本選んで伸ばしていきます。その他の側枝は摘除します。
  • 伸ばした子づるが3節〜5節程度になったら、孫づるに更新していきます。孫づるは、各2本ずつ伸ばしていきます。

家庭菜園でのつる下ろし栽培(つる下げ栽培)

つる下ろし栽培は、基本的にハウス内の誘引線と誘引ひもを用いて行われるため、家庭菜園で実施することはあまりありません。

しかし、つる下ろし栽培に挑戦してみたいという方は、1本仕立てでつる下ろしに挑戦してみるといいと思います。1本仕立てであれば、プランターや鉢植えでもコンパクトにできると思います。

キュウリのつる下ろし栽培における1本仕立てのやり方の例を示した画像です。

親づる、もしくは子づるをどんどん伸ばしていきます。本来であれば、ある程度の高さになったら摘心しますが、摘心は最後までせずに伸ばせるところまで伸ばしていきましょう。つる下ろしは1週間に1回程度実施し、プランターなどに巻きつけるように行うと良いと思います。下葉は適宜摘葉しましょう。

つる下ろし栽培のスケジュール

キュウリの場合、地這い栽培、摘芯栽培(摘心栽培)、つる下ろし栽培に関わらず、春〜夏にかけて栽培・収穫することが一般的です。

ハウス栽培の場合は、作型に合わせて栽培をします。つる下ろし栽培は、一般的に長期間栽培する作型であり、西南暖地、東海地域にて秋冬〜春にかけて実施されることが多いです。最近では、群馬県や埼玉県など関東・北関東地方でもつる下ろし栽培を採用している農家が増えています。

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