病害虫

ナスの防除 半身萎凋病に適用のある農薬やその他の対処方法

ナス畑 病害虫

ナスの苗が半分だけ枯れて萎れてきたら「半身萎凋病」かもしれません。ここではナスの栽培で発生しやすい半身萎凋病が発生した場合の対処方法や、発生を防ぐ農薬や対策について説明します。

この記事の執筆者・監修者
農家web編集部
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半身萎凋病の特徴・症状

半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)は、ナス科の植物がかかりやすい土壌伝染性の病害です。病原菌は不完全菌類に属するカビの一種で、被害作物の葉、茎、根から微小菌核が形成され、土壌中に残りそれが感染源となります。

地温22~26℃の時期に発生が多く梅雨時に発生し、真夏に症状が落ち着いて秋口にまた再発することがあります。湿度が高く日照不足も病状が発生しやすい原因です。

症状はまず初めに下葉の葉脈に褐色の斑点が生じ枯れます。次第に上の葉にも同様の症状が出始め、葉の縁が上の方へ巻き上がります。その病気の名前のとおり、発病初期は全体の茎にでるのではなく枝の片側だけに生じ、症状が進むと全体が枯死します。

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ナス 半身萎凋病にかかった場合の対処方法

ナスが半身萎凋病にかかった場合はどのように対処したらよいのでしょうか。半身萎凋病を完全に治療する農薬はなく、栽培期間中に使える農薬も限られています。圃場内に多発している場合は、発病株を除去し,焼却処分をして自作のために土壌消毒をしましょう。

少量であれば、まずは症状のでている葉を手で摘みとるかハサミで切り取ります。その後、ベノミル水和剤(ベンレート水和剤)を土壌灌注処理することにより、症状がでなくなることがあります。回復がみられない場合や、被害が大きい場合にはその株は引き抜いて、圃場外で焼却処分します。

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ナス 半身萎凋病の農薬を使った防除

半身萎凋病が発生した圃場では、定植前に土壌消毒を行います。発病後に使える薬剤は少ないので抵抗性を発現させないためにも、1回~2回の使用がおすすめです。

散布時期農薬名希釈倍率使用液量使用期間使用回数使用方法FRACコード備考
定植前クロルピクリン錠剤1㎡当り10錠1回土壌くん蒸
<圃場>「1㎡当り10錠処理」
地表面に所定量を散布処理する。
8Bクロルピクリンくん蒸剤
灌注器がなくともくん蒸でき、周辺へのガス放出の心配がないため、住宅近接地でも使用可能。
半身萎凋病以外にも青枯病、苗立枯病、センチュウ類などの防除にも適用があります。
定植前バスアミド微粒剤20〜30kg/10aは種又は定植21日前まで1回本剤の所定量を均一に散布して土壌と混和する。8F刺激臭が少ない土壌消毒剤です。
専用の機械を使うと散布が楽に行えます。
青枯病、苗立枯病、白絹病、ネコブセンチュウの防除の他除草効果もあります。
生育期
(病気発生初期)
ベンレート水和剤500倍
1000倍
200〜300mL/株
400〜600mL/株
定植後〜収穫14日前まで3回以内土壌灌注
1
発病後に使えるベノミル水和剤。
発病初期から20~30日間で1~2回処理するのがよいでしょう。

この他にもナスには多くの農薬が使えます。ナスの半身萎凋病に適用のある農薬は下記からほぼすべての農薬が検索できます。

ナス 化学農薬以外で半身萎凋病を予防する方法

連作・輪作をしない

ナスの連作は避けましょう。ナス以外でもトマトなどのナス科の作物との連作も、半身萎凋病を発生する可能性が高くなるため避けましょう。

また前作にブロッコリーを栽培することで、半身萎凋病の発生を抑制する効果があるという研究結果もでています。

台木の利用

半身萎凋病に抵抗性のある台木を利用しましょう。トルバム・ビガー、トレロなどの品種が使われます。

土壌消毒

ハウスなどでは夏の暑さを利用した太陽熱消毒や、糖蜜、ふすま、米ぬかなどの有機物を使った土壌還元消毒などの土壌消毒方法もあります。

土壌・圃場管理

過湿状態が続くと発生しやすいので、排水を良くしましょう。また発生株がある場合には、圃場に発生した茎や葉を残さないようにしましょう。切り取った葉だけでなく、枯れて落ちた葉なども排除します。

農業アプリを活用しましょう

今まで農業日誌や栽培記録、ノートやパソコンで管理していたという人には、農業に役立つアプリを活用しませんか。農家webの「かんたん栽培日誌」アプリはスマホから作物と地域を入力するだけで、防除暦、栽培カレンダーが自動表示。実際の栽培記録はタップ一つで登録可能。自社の「農薬検索データベース」「かんたん農薬希釈計算アプリ」と連動しているので、散布したい農薬をいれればラベルをみなくとも希釈計算も可能で、散布回数もカウントしてくれます。

また地方自治体から発表される予察情報も反映しているので、農家の防除に役立つアプリです。ダウンロードも不要で、ID登録だけですべての機能が無料で使えるアプリです。ぜひ一度使ってみてください。

執筆者・監修者情報
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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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