ニラは一度育てると、その後何年も収穫が楽しめる栄養価の高い野菜です。病気や害虫の心配もないので家庭菜園初心者の人にもおすすめです。
ここでは、ニラのプランター栽培について、タネから育てる基本の育て方から、肥料や収穫までわかりやすく説明します。
ニラの栽培について
ニラの基礎知識
ニラは野菜の中では数少ない多年草です。そのため1度種をまくと、2年~3年収穫を楽しむことができ、年に2~3回収穫することができます。ニラは栄養価の高い緑黄色野菜で、βカロテン、ビタミンC、カリウムや葉酸、アリシンなどをバランスよく含んでいます。ニラ特有の香りは、硫化アリルで、ネギやタマネギなどにも含まれ、ビタミンB1の吸収を促進させる働きがあります。
栽培は容易で、ニラは病害虫に強く、耐寒性、耐暑性にも優れており丈夫で育てやすい野菜です。過湿に弱いので、プランターで育てる場合は、排水穴の多いものを選び、通気性や水はけを良くして育てます。
作物名 | ニラ |
---|---|
科目 | ユリ科(ヒガンバナ科)ネギ属 |
原産地 | 中国西部から東アジア |
発芽適温(地温) | 15~20℃ |
生育適温 | 20~25℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0∼6.5 |
育てやすさ | 簡単 |
栽培時期
ニラは、植え付け時期になると苗もホームセンターなどで販売されますが、発芽率もよいので種から育てるのが一般的です。タネは春まきと秋まきができますが、春まきのほうが収穫までの期間が短くなります。
作型 | 播種(種まき)時期 | 収穫 |
---|---|---|
春まき | 3月中旬~4月中旬 | 8月下旬~11月上旬 |
秋まき | 9月中旬~10月上旬 | 翌年4月~11月 |
ニラのプランター栽培の手順
ではニラのプランター栽培の手順について説明していきます。詳細な育て方については、下記のニラの育て方を参照してください。
用意するもの
手順
- 手順1プランターの準備
標準プランターに、底が隠れる程度に鉢底石を入れます。
その上から、野菜専用培養土をプランターの上部2〜3cm程度のところまで敷き詰めます。側面を軽くたたいて土を落ち着かせます。 - 手順2種まき
種まきは、すじまきで行います。
プランターの中央に、割り箸などを使って深さ5㎜~1cm程度のまき溝を作ります。1cm間隔で、1カ所に3粒から5粒ほど種をまきます。
両側の土を寄せて土をかぶせます。軽く手で押さえ、タネと土を密着させます。
水をたっぷり与えます。 - 手順3
タネをまいてから1か月ほどしたら追肥を開始します。化成肥料ひとつかみ(5g程度)、土の表面にまいて土と軽く混ぜて土寄せし、水やりをします。その後は月に1度同様に追肥して育てます。(真夏と冬はお休みします)
- 手順4花芽摘み・増し土
夏に花芽(つぼみ)が伸びてきたら、花が咲く前に株の消耗を防ぐため、その都度花茎から摘み取ります。
成長点が土から出ている場合には、増し土をして成長点の下まで土を入れます。肥料入りの培養土を入れる場合は、追肥は不要です。 - 手順5収穫
草丈が20cm程度まで伸びたら収穫のタイミングです。株元を3cm~4㎝残して、ハサミでカットして収穫します。収穫したら追肥をしておけば、また収穫が楽しめます。1年目は株を育てるため収穫は1回~2回ほどにしておきましょう。
ニラのプランター栽培の育て方
容器・用土
ニラはそれほど大きくならないので、深さはそれほど必要ありません。深さ15cm以上のプランターであれば育てることができます。ホームセンターなどでよく見かける標準サイズのプランターは長さが65cm、容量が15ℓほどなので、野菜の培養土が1袋13ℓ~14ℓなので、ちょうど1袋分になります。4ℓ以上はいるミニプランターでも育てることができます。
過湿に弱いので、排水穴が多めにあるものや、脚のついた底上げ網とセットになったプランターをつかって、通気性や水はけをよくするとよりよいでしょう。
用土は、元肥入りの野菜の培養土が便利です。自分で配合する場合は、赤玉土6、腐葉土3、バーミキュライト1を混合します。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します。
品種
ニラは葉ニラ、黄ニラ、花ニラの3種類に大きく分けられます。よくスーパーなどで見かけるのは、緑色の葉ニラ。大葉ニラや広巾ニラなどの品種があります。葉ニラには葉の太さにより、大葉タイプと小葉タイプがありますが主流は大葉タイプです。黄ニラは、葉ニラの苗に光をあまり当てずに育てたもので、やわらかくニラ特有のあくがなく甘みがあるのが特徴です。
花ニラは、若いつぼみのついた若いトウを根元から追って収穫したもの。花ニラ専用の品種もあります。
栽培環境・水やり
ニラは日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも育てることができます。強い光に当てると葉が固くなるので、半日陰でそだてるとやわらかな葉が育ちます。
水やりは、種まきから発芽までは土が乾かないように注意し、その後は土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。夏に花芽がでてとうが立つと、株が弱るので蕾のうちに花芽は切り取ります。冬になると、地上部が枯れます。11月頃になったら、枯れた茎は根元から刈り取っておきましょう。
肥料
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は生育期の春から秋まで。月に1度ほど行います。翌年も収穫を楽しみたいのであれば、9月頃で収穫は終わりにしお礼肥を与えた後は、翌年の春までは肥料は不要です。
肥料は化成肥料や、有機肥料、液肥も使えます。プランターの場合は、有機肥料だと臭いが気になるという人には、化成肥料がおすすめです。住友化学園芸の「マーガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」などを使うとよいでしょう。
病害虫対策
ニラは病害虫の心配はあまりありませんが、害虫はアブラムシやアザミウマ、ハダニ、ヨウトウムシなどの害虫が発生することがあります。見つけたら早めに駆除しましょう。粘着テープや、アルミホイルなどを使って防除する方法もあります。アブラムシ対策については、下記のコンテンツも参考にしてください。
病気ではうどんこ病やさび病などが、高温時に発生しやすくなります。水はけのよい土を使い、株が混みあわないように、こまめに収穫することも予防につながります。
株分け
タネを植えつけた後、2年~3年はそのまま収穫を楽しむことができます。その後は2年~3年に1度、春に株分けして植え替えをしましょう。
- 地際から5cmのところで、刈り取りします。
- 根株を掘り起こします。
- 土を落とし、1株ずつに分けます
- プランターに新しい用土をいれ、2~3株一緒に植え付けします。
まとめ
ニラは、道端や土手、河川敷などで自生するほど生命力が強く、丈夫な野菜です。家庭菜園が初めての方でも育てやすい野菜で、収穫期間が長く何回も収穫できるので、手元で育てるプランター栽培に向いています。涼しい時期に、刈り取った苗に缶などを被せておくだけでやわらかな黄ニラを収穫することもできます。スーパーなどではあまり見かけず、高級な黄ニラも慣れたら育ててみてください。
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