農業者が活用できる主な補助金・助成金一覧

農業には、経営所得安定対策(通称、ゲタ対策、ナラシ対策)をはじめ、農林水産省など国が交付している補助金・助成金は数多くあります。また、農林水産省以外の省庁の補助金・助成金や各地方自治体の補助金・助成金などもあります。

農業に活用できそうな補助金・助成金の概要をまとめて紹介します。

※この記事は2023年11月時点の情報です。補助金の内容等の変更や公募が終了している可能性もあるため、必ず各公募の公式ページをご確認ください。

農家web補助金データベース

農家webでは、農業で利用できる補助金情報をまとめたポータルサイト「農家web補助金データベース」を構築、運営しています。

年別の農業補助金・助成金一覧

補助金関連書類の写真

2023年版 農業補助金・助成金一覧

2023年の農業補助金・助成金をまとめています。

就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)や強い農業づくり総合支援交付金、農地利用効率化等支援交付金、産地生産基盤パワーアップ事業、ものづくり補助金などの情報をまとめています。

農業補助金の代表例

2023年時点の農業補助金の代表例を紹介します。下の表のリンクをクリックすると、詳細が記載されているところへ移動します。

交付金・補助金事業名主な支援内容
経営所得安定対策 畑作物の直接支払交付金諸外国との生産条件の格差による不利がある畑作物(麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたね)を生産する農業者に対して、経営安定のための交付金(標準的な生産費と標準的な販売価格の差額)を直接交付。
経営所得安定対策 米・畑作物の収入減少影響緩和交付金収入減少による農業経営への影響を緩和するため、米、麦、大豆等の当年産の販売収入の合計が、標準的収入を下回った場合に、その差額の9割を補塡。
強い農業づくり総合支援交付金強い農業づくり総合支援交付金は、令和5年3月31日に改正された交付金。特に生産事業モデル支援タイプは、農業用施設(パイプハウス、耐候性ハウス等)や農業用機械(トラクターや収穫機、播種機、定植機等)の導入にも活用できる。
農地利用効率化等支援交付金地域が目指すべき将来の集約化に重点を置いた農地利用の姿の実現に向けて、生産の効率化に取り組む等の場合、必要な農業用機械・施設等の導入を支援。
産地生産基盤パワーアップ事業収益力強化に計画的に取り組む産地に対し、農業者等が行う高性能な機械・施設の導入や栽培体系の転換等に対して総合的に支援。
環境保全型農業直接支払交付金平成23年度から化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い営農活動を支援。
みどりの食料システム戦略推進交付金地域の特色ある農林水産業や資源を活かした持続的な食料システムの構築を支援し、モデル地区を創出するための交付金。
代表的な農業補助金・交付金事業と概要(令和5年時点)

畑作物の直接支払交付金

諸外国との生産条件の格差による不利がある畑作物(麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたね)を生産する農業者に対して、経営安定のための交付金(標準的な生産費と標準的な販売価格の差額)を直接交付します。

交付金の支払いは生産量と品質に応じて交付する数量払を基本とし、当年産の作付面積に応じて交付する面積払は数量払の先払いとして支払われます。

畑作物の直接支払交付金を申請する場合には、原則、数量払と面積払の両方を申請します。

交付対象者は、認定農業者、集落営農、認定新規就農者です(いずれも規模要件はありません。)

米・畑作物の収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策)

収入減少による農業経営への影響を緩和するため、米、麦、大豆等の当年産の販売収入の合計が、標準的収入を下回った場合に、その差額の9割を補塡します。補塡の財源は、農業者と国が1対3の割合で負担します。

交付対象者は、認定農業者、集落営農、認定新規就農者となります(いずれも規模要件はありません)。対象作物は、米、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょとなります。

強い農業づくり総合支援交付金

強い農業づくり総合支援交付金は、令和5年3月31日に改正された交付金です。特に生産事業モデル支援タイプは、農業用施設(パイプハウス、耐候性ハウス等)や農業用機械(トラクターや収穫機、播種機、定植機、選別機等)の導入にも活用できるものとなっています。

農林水産省の強い農業支援のパッケージは、基本的に農業用機械や施設(ビニールハウス、パイプハウス等)、スマート農業機器に活用できることが多いので注目しておくと良さそうです。

農地利用効率化等支援交付金

農地利用効率化等支援交付金は、下記を目的に農林水産省が公募しています。

農地利用効率化等支援交付金の目的

地域が目指すべき将来の集約化に重点を置いた農地利用の姿の実現に向けて、生産の効率化に取り組む等の場合、必要な農業用機械・施設等の導入を支援します。

産地生産基盤パワーアップ事業

産地生産基盤パワーアップ事業とは、その名の通り、収益性向上や生産基盤の強化を主目的とした補助事業です。かつては、「産地パワーアップ事業」という名称で実施されていましたが、内容の拡充などを経て現在のものになっています。

農地生産基盤パワーアップ事業の目的

収益力強化に計画的に取り組む産地に対し、農業者等が行う高性能な機械・施設の導入や栽培体系の転換等に対して総合的に支援します。また、輸出事業者等と農業者が協働で行う取組の促進等により海外や加工・業務用等の新市場を安定的に獲得していくための拠点整備、需要の変化に対応する園芸作物等の先導的な取組、全国産地の生産基盤の強化・継承、堆肥の活用による全国的な土づくり等を支援します

環境保全型農業直接支払交付金

有機農業に限りませんが、環境に優しい農業を実践する営農活動に対しての補助金もあります。

「環境保全型農業直接支払交付金」は、平成23年度から化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い営農活動を支援しています。

有機農業に限らず、いわゆる特別栽培にも活用できるので、チェックすると良いでしょう。応募する場合は、各市町村をとおすことになります。

みどりの食料システム戦略推進交付金

地域の特色ある農林水産業や資源を活かした持続的な食料システムの構築を支援し、モデル地区を創出するための交付金です。下記、いくつかの事業に分かれており、それぞれ取り組みに対して補助されます。

  • 推進体制整備
  • 有機農業産地づくり推進
  • 有機転換推進事業
  • グリーンな栽培体型への転換サポート
  • SDGs対応型施設園芸確立
  • 地域循環型エネルギーシステム構築
  • 持続可能なエネルギー導入・環境負荷低減活動のための基盤強化対策
  • みどりの食料システム戦略の理解浸透
  • 有機農業推進総合対策事業
  • 穀物グリーン化転換推進事業
  • 生分解性マルチ導入促進事業
  • グリーンな栽培体系の普及啓発
  • 地域資源活用展開支援事業

各事業、取り組み面積あたりの補助や、新技術の機械導入の補助などが設けられています。基本的には市区町村、都道府県が受付機関となりますので、気になる事業があった場合には、営農している地域の担当課へ早めに問い合わせると良いでしょう。

各地方自治体独自の補助金・助成金

国(農林水産省や経済産業省、厚生労働省等)が公募する補助金・助成金の他にも都道府県や市区町村などが独自で公募する補助金もあります。補助金検索ツールや地方自治体のホームページなどを確認して、活用できる補助金がないか、探してみましょう。

その他、農業に活用できそうな補助金

上記、農業補助金・交付金・助成金の他にも活用できる国(経済産業省、厚生労働省など)の補助金・助成金があります。

交付金・補助金事業名主な支援内容
ものづくり補助金中小企業や小規模事業者向けの補助金で、生産性向上のための設備投資を促すことが目的。
IT導入補助金中小企業・小規模事業者のみなさまの労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、アプリ、サービス等)の導入を支援。
事業再構築補助金新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援。
小規模事業者持続化補助金小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援。
代表的な農業に活用できそうな補助金・交付金事業と概要(令和5年時点)

ものづくり補助金

正式名称は「ものづくり・商業・サービス革新補助金」で、中小企業庁が主幹となって実施されています。中小企業や小規模事業者向けの補助金で、生産性向上のための設備投資を促すことが目的のひとつとなっているので、農業用ドローンも対象になります。

補助率は導入費用の中小企業で1/2(小規模事業者で2/3)、上限額は1,000万円とされています。「ものづくり補助金事業公式ホームページ」には、最新の情報が掲載されています。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者のみなさまの労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、アプリ、サービス等)の導入を支援するための補助金です。

令和5年度は、通常枠・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入枠が用意されました。農業の場合は、通常枠を利用することになります。

実際に、田んぼの水門管理などスマート農業ツールの導入にIT導入補助金を活用した事例があります。

https://www.it-hojo.jp/h30/doc/pdf/h30_whychooseit.pdf

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金です。

もちろん、農業者であっても補助金申請をすることが可能です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。

小規模事業者持続化補助金の目的

小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」といいます。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。

施設・農業機械・設備に活用できる農業補助金

農業を事業としてやっていくためには、ビニールハウス(パイプハウス)やトラクター・軽トラ・耕運機などの機械・施設の購入・準備が必要となることがほとんどです。

農業用ドローン軽トラトラクターなどの農業機械農業用井戸農業用倉庫農業用ビニールハウスなどの設備、施設に活用できる補助金もしっかりと確認しておきましょう。

営農種別・経営体別の活用できる農業補助金

一言で農業といっても、営農の考え方や経営体、栽培方法など千差万別です。また、これから農業を始める新規就農者は、生計を立てられるか不安な日々を過ごすことになります。

新規就農者(認定新規就農者)認定農業者兼業農家農業法人有機農業を推進している方女性農業者60歳以上の農業者など、各農業者に向けて補助金情報をまとめました。

農業における補助金・助成金の活用事例一覧

農業における各種補助金・助成金の活用事例が公開されている場合があります。下記にまとめましたので、気になる補助金などがあったときは、過去の事例も参考にして活用を検討しましょう。

農業補助金検索なら農家web補助金データベースが便利

農家webでは、農業で利用できる補助金情報を「農家web補助金データベース」にまとめています。「トラクタ」などで検索することもできます。ぜひ、活用してください。

農家web編集部は、補助金や助成金といった農業者向けのデータを収集、提供しています。
気になることや申請などの相談は気軽にこちらからご相談ください。

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