モザイク病はウイルス病とも呼ばれ、その名のとおり葉に濃い緑や薄い緑のモザイク状のまだら模様が生じます。ここではじゃがいものモザイク病を予防する農薬やその他の対策について説明します。
モザイク病とは
モザイク病の特徴
モザイク病の病原はウイルスで6種類(PVY, PVA, PVM, PVS, PVX, CMV)あり、伝染方法がウイルスによって異なります。
6種類すべてのウイルスは種芋伝染をし、芋の断面を切った汁液からも伝染します。またPVX以外の5種類はアブラムシにより媒介されます。被害が大きいのはPVYのウイルスで、ウイルスのアルファベットの最後をとってYモザイク病と呼びます。
モザイク病に適用のある農薬はなく、モザイク病にり患した株は治すことができません。モザイク病に感染した株は、発見次第に抜き取り他の株に感染を移さないことが重要です。
モザイク病の被害
モザイク病は、じゃがいもの生育期間中はいつでも発生します。
ウイルスの種類や品種によっても被害は多少異なりますが、葉にモザイク状のまだらもようの斑点が生じ、株が委縮します。また葉に褐色の小斑点ができる壊疽症状がでる場合もあります。下葉に発生した症状は次第に上葉、茎など株全体に広がります。
ジャガイモ以外にもトマト、ナスなどのナス科野菜やキュウリ、スイカなどのウリ科野菜などの多くの野菜で発症します。



画像出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
モザイク病が発生した時の対処法
モザイク病が発生してしまった株は治せません。そのためほかの株に感染を広げないことが重要です。またモザイク病を放置することは、ほかの畑などへの被害も広げることになりますのでしっかりと対策をしましょう。
まずは感染した株は抜き取り圃場外で処分しましょう。またアブラムシが感染を広げるため、アブラムシが発生している場合はアブラムシを駆除する農薬を散布しましょう。
一部のウイルスは株の接触でも感染し、汁液感染もするので株や芋を切ったはさみなどは消毒することも忘れないでください。
モザイク病の防除のポイント
モザイク病の防除は予防が重要です。特にアブラムシが多い地域やモザイク病が多発する地域では発生前からの予防しましょう。
- 種イモは消毒済みのものを使う
- ウイルスに感染した株の除去の徹底
- アブラムシが媒介するため、アブラムシの農薬を使った化学防除を行う
- 農薬以外にも寒冷紗や防虫ネットなどの物理的防除も行う
化学農薬を使うときのポイント
アブラムシには化学農薬を使った防除を行います。化学農薬を使う場合には、同じ系統の農薬を使うとアブラムシに抵抗性がついて農薬が効かなくなるため、IRACコードを確認して、違う系統の農薬をローテーション散布しましょう。
地域によってはすでにアブラムシに抵抗性がついている場合がありますので、地域で確認してから農薬をつかいましょう。
毎年アブラムシが多発している場合には、植え付け時に土壌散布できる農薬を使いましょう。多発していない地域であれば発生初期の農薬散布が効果的です。
ジャガイモの栽培では、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシが発生しやすく、モモアカアブラムシとワタアブラムシはPVYウイルスを媒介するので、これらのアブラムシに効果のある農薬を使いましょう。
ジャガイモ栽培 アブラムシに適用がある農薬
| 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期間 | 使用回数 | 使用方法 | IRACコード | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| アクタラ顆粒水溶液 | 100倍 3000倍 他 | 10〜20L/10a 100〜300L/10a | 植付時 収穫14日前まで | 1回 3回以内 | 植溝内土壌散布 散布 | 4A | ネオニコチノイド系殺虫剤。 じゃがいもの主要アブラムシに効果があります。 残効性と浸透移行性に優れています。 植え付け時の土壌散布にも、育成期の散布にも使えます。 |
| ウララDF | 500倍 2000〜4000倍 他 | 25㍑/10a 100〜300㍑/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 | 29 | 新しい系統(ピリジンカルボキサミド系)の殺虫剤 すべてのアブラムシ類に特に高い効果を発揮します。 残効性と浸透移行性、耐雨性に優れ、無人航空機による散布も可能 |
| コルト顆粒水和剤 | 400倍 2000倍 | 25㍑/10a 100〜300㍑/10a | 収穫前日ま | 3回以内 | 散布 | 9B | 新しい系統(スルホキシイミン系)の殺虫剤 じゃがいもの主要アブラムシに効果の高い薬剤です。 即効性、浸達性、残光性に優れています |
| ビレスコ顆粒水和剤 | 1250倍 5000〜10000倍 | 25㍑/10a 100〜300㍑/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 | 4C | じゃがいものアブラムシ類に高い効果を持つ殺虫剤 速効性、浸透移行性と浸達性、残効性にも優れています。 |
この他にもじゃがいもには多くの農薬が使えます。適用作物はじゃがいもではなく「ばれいしょ」です。ばれいしょのアブラムシ類に適用のある農薬は下記からほぼすべての農薬が検索できます。
化学農薬以外の対策方法
種イモは消毒済みのものを使う
栽培したじゃがいもや、スーパーなどで売られているじゃがいもには、発症していなくとも、菌を保有している場合もあります。
種イモは消毒済みのものをつかいましょう。種馬鈴しょ検疫の合格証があるものが安全です。
感染株の抜き取り
モザイク病は治りません。感染を広げないために有効なのは早期に感染株を抜き取ることが一番重要です。
感染した株は、抜き取り圃場外で処分しましょう。残渣にもウイルスが生存しつづけるため土壌に埋め込まず、できれば焼却処分しましょう。
防虫ネット・マルチ
アブラムシは、キラキラと、光が乱反射するのを嫌う習性があります。これを利用して、マルチをシルバーマルチに変えるのは、アブラムシの防除の有効です。
また不織布や防虫ネットを掛けて、成虫の飛来を防ぎましょう。防虫ネットは6㎜程度の目合いのものがよいでしょう。
除草
圃場の周りに雑草があるとアブラムシの住処になり、発生を促進してしまいます。圃場の周りの雑草はできるだけ早めに除草しておくことが、被害を少なくするのに極めて重要です。
農業アプリを活用しましょう
今まで農業日誌や栽培記録、ノートやパソコンで管理していたという人には、農業に役立つアプリを活用しませんか。農家webの「かんたん栽培記録」アプリはスマホから作物と地域を入力するだけで、防除暦、栽培カレンダーが自動表示。実際の栽培記録はタップ一つで登録可能。自社の「農薬検索データベース」「かんたん農薬希釈計算アプリ」と連動しているので、散布したい農薬をいれればラベルをみなくとも希釈計算も可能で、散布回数もカウントしてくれます。また自分の使っている農薬を登録するだけで、混用が可能な農薬もわかります。
地方自治体から発表される予察情報も反映しているので、農家の防除に役立つアプリです。ダウンロードも不要で、ID登録だけですべての機能が無料で使えるアプリです。ぜひ一度使ってみてください。




