チェンソーを大木の伐採、丸太の切断に使うだけの道具と思ってはいませんか?もしも家庭での園芸やガーデニングに鋸(ノコギリ)を使っているのであれば、小型チェンソーを使うことで、驚くほど便利に幅広い作業が可能になります。
この記事では、小型チェンソー(ミニチェンソー)の選び方やおすすめ品を紹介します。
小型チェンソーの選び方
小型チェンソーとは、その名の通り本体サイズの小さいチェンソーのことです。ただし、本体サイズが小さくなるとガイドバーの長さも短くなり、それにともなってエンジン排気量やバッテリー出力も小さくなります。したがって、小型チェンソーを選ぶ際には、本体サイズのほかに、ガイドバーの長さ、エンジン排気量やバッテリー出力にも注目してみるとよいでしょう。
特殊なチェンソーを除けば、ガイドバーの長さは25~45cm(250~450mmもしくは10~18インチ)、エンジン排気量は20~100ml(20~100cc)くらいの範囲におさまります。そのうち、ガイドバーの長さが30cm(300mmもしくは12インチ)以下、エンジン排気量が30ml(30cc)以下くらいのものが小型チェンソーとよばれる目安です。なお、重量は3kg以下くらいであれば、チェンソーとしては軽量といえます。
また、小型チェンソーには、トップハンドルチェンソー(トップハンドルソー)が多いことも特徴です。チェンソーの持ち手であるハンドルは基本的に、トップハンドルかリアハンドルのいずれかに大別されます。トップハンドルチェンソー(トップハンドルソー)の本体はコンパクトで軽いため、枝打ちや剪定に適しています。一方で、伐木、丸太切り、薪割りといったパワーが必要な作業には適していないため、それらの作業については強力な鋸断能力のあるリアハンドルチェンソーを用いることになります。
大は小を兼ねるという言葉がありますが、チェンソーの場合はできるだけ小型のものを選ぶのが基本です。この背景には、可能な限り振動を小さく抑えることで疲労を小さくし、振動障害を防止する意図があります(長時間の作業は体感以上に疲れるので、避けなくてはいけません)。また、小型のチェンソーであれば万が一事故が起きた場合でも、怪我や被害が小さくて済むということもあります。想定される作業を鑑みて、必要な限度を超えないサイズのチェンソーを選ぶようにしましょう。
小型チェンソーのタイプ別分類
小型チェンソーは、エンジンを動力とする「エンジンチェンソー」、モーターを動力とする「電動チェンソー」に大別することができます。操作性やメンテナンス性の面で、それぞれ異なる特徴がありますので、まずはどちらを希望するか決めるようにしましょう。
エンジンチェンソー
エンジンを搭載したチェンソーを「エンジンチェンソー」とよびます。チェンソーには2サイクルエンジンが採用されているので、燃料として無鉛ガソリンおよびエンジンオイルが使われます。燃料の入手やメンテナンスが手間ではありますが、切断力では明らかに優れます。
電動チェンソー
「電動チェンソー」とは、電気を動力源として動作するチェンソーのことを指します。電動チェンソーは、「充電式」(バッテリーチェンソー)と「電気式」(電気チェンソー)に細分化して整理されることがあります。
充電式
リチウムイオンバッテリー(電池)などのバッテリーを動力源とするチェンソーです。長所として、コードレスなのでどこでも使えて便利ということがあります。短所としては、バッテリーを搭載するため重量が重くなり、本体サイズも電気式と比べて大きくなりがちということがあります。
電気式
電源コードによって電気を供給するチェンソーです。のこぎりの代わりなど家庭での普段使いはもちろん、農業や園芸の場面でも活躍します。庭木の枝打ち、生垣の手入れ、雑木の伐採、果樹の剪定、あるいは薪や木材の切断といった大工作業など幅広い用途が想定されます。
エンジンチェンソーと電動チェンソーを比較
「エンジンチェンソー」と「電動チェンソー」には、それぞれ長所と短所があります。どちらか一方が優れているということはなく、一長一短というところになるので、使用場面や用途に応じて選ぶ必要があります。現在は、技術の進歩も著しく必ずしも当てはまらないこともありますが、代表的な特徴は以下の通りです。
エンジンチェンソー | 電動チェンソー | |
---|---|---|
動力 | エンジン | モーター |
動力源 | 燃料 (無鉛ガソリンおよびエンジンオイル) | 電気 (バッテリー) |
始動 | リコイルスタートロープを引いて点火 | スイッチを押すだけなので、再始動も楽 |
取り回し | 山林や畑等どこでも使える (燃料切れ後にも、給油すればすぐに使える) | 電源がある場所でのみ使える (バッテリー切れ後には、充電が必要) |
メンテナンス | 燃料で汚れやすく手間 | 手間が少ない |
排気ガス | 排気ガスが出る | 排気ガスが出ない |
騒音 | 大きめ | 小さめ |
振動 | 大きめ | 小さめ |
切断力 | パワフル | 切れ味で劣る傾向 |
小型チェンソーのおすすめメーカー
小型チェンソーの取り扱いがある代表的なメーカーは、次の通りです。
マキタ(makita)
マキタは、電動工具のトップメーカーです。有名なインパクトドライバーやインパクトレンチなどの電動工具だけでなく、ヘッジトリマー、耕うん機、刈払機、草刈機、芝刈機、高圧洗浄機、送風機、発電機、噴霧器、墨出し器、釘打機、電気カンナ、ポンプ、レーザー距離計といったさまざまな機器を開発販売しています。
マキタのチェンソーもよく知られており、特に電動チェンソーは高性能に加えてラインナップが豊富で大変人気があります。たとえば、MUC254Dシリーズにはスプロケットノーズバー、薄刃スプロケットノーズバー、カービングバーの3種類のガイドバーがあります。
マキタの小型チェンソーとして、次のようなものがあります。なお、木工や工作といった作業にはチェンソーだけでなく、レシプロソー、セーバーソー、バンドソーも用いられます。
リョービ(RYOBI)
リョービ株式会社は、世界トップクラスのダイカストメーカーです。他にも、電動工具、ガーデン機器、清掃機器などDIY機械で馴染みがあるという人も多いのではないでしょうか。
実は、電動工具、ガーデン機器、清掃機器などを手掛けていたパワーツール事業部門は、2018年に京セラグループの京セラインダストリアルツールズ株式会社へと事業譲渡されています。しかしながら、京セラインダストリアルツールズは、認知度の高いRYOBIブランドをそのまま継続して使用しているため、現在でもホームセンターなどでその製品を見かけることができます。
よく見ると、製品の外箱やカタログに「RYOBI」と「KYOCERA」のロゴが併記されています。事業は京セラインダストリアルツールズに譲渡されましたが、これまで通り変わらずにアフターサポート含めユーザーを大事にしてくれる信頼できるメーカーといえるでしょう。
リョービの小型チェンソーとして、ガーデニングソー「GCS-1500」を筆頭に次のようなものがあります。
ゼノア(ZENOAH)
ゼノアは、「ZENOAH」のロゴマークでおなじみの製品ブランドです。未来に挑戦するという意味をもつ「ZE」と、旧約聖書のノアの方舟伝説の「Noah」からなる造語とされています。会社の沿革としては、1910年に創立された東京瓦斯工業株式会社が源流にあり、2020年には110周年を迎えています。創立当初はガス器具の製造が主な事業でしたが、戦時中には軍用航空機用エンジン、終戦後にはバイクエンジンなどを製造します。
1973年には社名をゼノア株式会社に改め、農業用エンジンや建設機械の分野に進出します。その後、1979年に小松部品株式会社と合併し、社名を小松ゼノア株式会社とします。2007年には、独立した農林機器事業部がハスクバーナ・ジャパン株式会社と合併し、現在の「ハスクバーナ・ゼノア株式会社」に至っています。ハスクバーナ・ゼノアでは、それぞれの特長を活かし、ハスクバーナ(Husqvarna)とゼノア(ZENOAH)の2つのブランドを主として農林機器の開発販売を行っています。
ゼノア(ZENOAH)の農林機器の中でも、チェンソーは重要な役割を果たした製品です。G35シリーズというチェンソーの爆発的ヒットが、現在までの農林機器事業の礎を築きました。2サイクルエンジンにおける技術力がチェンソーに活かされており、特に排ガス規制に対応したストラト・チャージドエンジンは低燃費の環境に優しいECOなエンジンです。プロソー、オールラウンドソーまで幅広く取り揃えられたラインナップは、樹木、雑木、材木、薪作りなどあらゆる用途に対応します。
小型チェンソーについては、「こがるシリーズ」が世界最小最軽量を謳う製品として有名です。世界最小最軽量のエンジンチェンソーながら摩擦抵抗を感じさせない切れ味で、さらにオートチェーンブレーキ付きでキックバック時にはチェーンの回転が止まる安全機能が採用されています。ゼノアの小型チェンソーとして、次のようなものがあります。
共立(KIORITZ)
共立(KIORITZ)は、株式会社やまびこのもつ製品ブランドのひとつです。小型屋外作業機械と農業用管理機械を展開する国内ブランドと位置付けられています。やまびこは、共立(KIORITZ)のほか、エコー(ECHO)、新ダイワ(shindaiwa)ブランドのチェンソーも展開しています。
共立チェンソーは、日本を代表するチェンソーのひとつです。林業や造園業のプロとしてチェンソーを商売道具とする人であれば、間違いなく共立チェンソーを知っているでしょう。その背景には、歴史があり、高性能で高品質、さらに安全性や環境への配慮もなされていることなどがあります。日本人の体格であったり、日本での作業であったりを念頭におき製品設計をしているので、カタログスペックでは測れない手馴染みのよさがあるともいわれています。
共立の小型チェンソーとして、次のようなものがあります。
スチール(STIHL)
スチール(STIHL)は、販売台数世界No.1のチェンソーブランドでありメーカーです。林業、農業、造園業、建設業向けの機械を開発販売しています。チェンソーのほかにも、コンクリートカッター、カットオフソー、クリアリングソー、チップソー、刈払機、草刈機、ヘッジトリマー、ブロワー、スイーパー、高圧洗浄機、コンビツール、ハンドツール、携行缶、防護用品なども手掛けています。
スチールチェンソーは、専門的な訓練を受けた販売店(農機具店など)でのみ販売されています。これは、製品の高品質で優れた機能性を発揮させるために、対面販売が必要とされているためです。したがって、ホームセンターやネット通販でスチールチェンソーを入手することはできません。こうしたことからもわかるように、スチールチェンソーはプロ志向の強い製品です。多くの他メーカーではオレゴン製(OREGON)のソーチェンが使われますが、スチールでは純正のものが使われることもプロ志向を裏付けています。少し敷居が高い印象もありますが、動画類(たとえばヤスリを使っての目立て方法)を充実させるなどユーザーとのコミュニケーションも重視しています。
その他
その他、小型チェンソーを取り扱う主なメーカーおよびブランドは、以下の通りです。
- 丸山製作所(BIGM)
- ハイコーキ(HiKOKI)
- ハイガー産業(HAIGE)
- ブラックアンドデッカー(Black&Decker)
- ヤードフォース(YARD FORCE)
- ボッシュ(BOSCH)
- 山善(YAMAZEN)
- 高儀(EARTH MAN)
女性にもおすすめの小型軽量チェンソー(ミニチェンソー)
重量は3kg以下くらいであれば軽量とされる中にあって、業界最軽量クラスの2.3kgをほこる工進(KOSHIN)SCS-1820というチェンソーがあります。庭などの枝切りに特化している、充電式のコードレスチェンソーです。リチウムイオンバッテリーの容量は2.0Ahなので、1回60分の充電で30mm径の松の枝300本相当を切ることができます。ガーデニングでの使用も想定されているので、安全性にも十分な配慮がなされています。具体的には、跳ね返り防止ガード付きなのでキックバックの心配がない、安心安全への改良が重ねられたモデルとなっています。チェンソーとしては、安価であるのも嬉しいポイントです。
片手で扱える?超小型チェンソー(ミニチェンソー)の使い方
片手でチェンソーを扱うことは、基本的にありません。ただし、両手でチェンソーを握るのではなく、片手でチェンソーを握りもう一方の片手を添えるハンディタイプのチェンソーはあります。その中でも、スチール(STIHL)の「バッテリーガーデンカッターGTA26」は、2020年に発売された新型とあって、庭木の剪定やDIY作業などを想定した現代風のデザインとなっています。チェンソーの扱いに慣れていない人でも、カンタンに使いこなせる仕様です。低木はもちろん、高所の太い枝の剪定においても活躍します。STIHLShop(STIHL販売店)で購入することができます。
もしも両手ではなく片手で扱うことできるチェンソーを希望している場合には、レシプロソーも検討してみるとよいでしょう。レシプロソーとは、木材や金属を切ることができる電動ノコギリのことです。チェンソーよりも力強さでは劣りますが、小径木や角材程度であれば何ら問題なく切れる仕様になっています。チェンソーと比べて音が静かで排ガスもないので、住宅街でも使いやすいという特長があります。もうひとつ便利な用途として、竹を伐る場面が想定されます。孟宗竹などの竹が茂った環境でもハンディに取り回すことができ、切り倒した後の輪切りにも使用することができます。専用の刃(ブレード)を装備することで、金物資材などの切削も可能です。
まとめ
チェンソーは、大木の伐採、丸太の切断、薪割り作業に使うだけの道具ではありません。家庭での園芸、ガーデニング、庭木の処理にぴったりな小型チェーンソーを用いれば、驚くほど便利に幅広い作業が可能になります。小型チェーンソーには、パワフルな切れ味のエンジンチェーンソー、騒音が小さく静かで住宅街でも使いやすい電動チェーンソーなどがあります。想定される作業に適した小型チェーンソーを選ぶようにしましょう。
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なお、小型チェーンソーの使用にあたっては、防護服や保護具(防護ズボン、チャップス、軍手など)を整えるようにします。安全に十分留意して、チェーンソーのある便利で快適な生活を始めてみませんか。