梅雨になると、ピンクや青色の美しい花を咲かせてくれる紫陽花(アジサイ)は、日本だけでなく世界中で愛されている花木です。ここではアジサイに発生しやすい害虫とその対策方法について説明します。
アジサイに発生しやすい害虫
アジサイには、さまざまな害虫が発生し葉や茎を食害します。ここでは発生の多い害虫とその特徴について説明します。(虫の写真があります。苦手な方はご注意ください。)
アブラムシ
アブラムシは植物の汁をすって加害する昆虫です。体長約1~3mmのとても小さな虫で、日本でも多くの種類がいます。
色は黒色や黄色で、アジサイの新芽や葉、茎にゴマのような虫がびっしりと張り付くことがあります。発生しやすいのは春と秋、特に新芽がでる春3月~6月頃の発生が多くなります。
アブラムシは直接植物の汁を吸うことで葉や茎に害を与えるだけでなく、排泄物を作物にかけ、黒いすす状のカビを増殖させたり、光合成が妨げられて作物の生育を悪化させます。
またウイルスを運ぶ虫としても有名で、アブラムシから広がるウイルスで有名なのは、モザイク病です。アジサイにも感染し、感染すると治すことができません。そのためモザイク病にかかったアジサイは、株ごと処分することになるためアブラムシの予防が重要です。


カイガラムシ
カイガラムシは、樹木の茎や葉に寄生して、植物の汁を吸って加害する昆虫です。カイガラムシには多くの種類がいますが、アジサイに発生しやすいのは「アジサイワタカイガラムシ」や「クワコナカイガラムシ」です。
アジサイワタカイガラムシは、4月中旬から5月中旬にかけて形成される、白い綿状の卵嚢(らんのう)が特徴的です。クワコナカイガラムシは、5月上旬~中旬、7月に特に発生が多く、体長3〜4.5mmほどの楕円形で白い粉をまぶしたような柔らかい体を持ちます。
カイガラムシは直接植物の汁を吸う(吸汁)ことで、非常に見た目が悪くなることや、変形や生育に影響を与えます。また排泄物を葉や枝、幹に付着させる事で表面に「すす病」が発生して黒く汚れてしまいます。

出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
ハダニ
ハダニはクモの仲間でダニの一種で、植物の汁を吸って加害する昆虫です。ハダニには多くの種類がいますが、アジサイに発生しやすいのは「カンザワハダニ」や「ナミハダニ」です。
カンザワハダニは体長が0.5mmほどで体色は赤色。ナミハダニは体長が0.6mmほどで、体色は淡黄~淡黄緑色の黄緑型と赤色の赤色型がいます。ハダニは高温と乾燥を好むため、アジサイには梅雨を除く5月~10月まで何度も発生する恐れがあります。
成幼虫が葉裏に寄生して吸汁し、葉表にカスリ状の白色の小さな斑点ができます。多発すると葉が小さくなったり、奇形、葉が落ちてしまうこともあります。また生育に影響を及ぼし花がつかなくなります。

出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集

出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集

出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
アザミウマ
アザミウマは植物の汁を吸って加害する、体長1〜2mm程度の小さな昆虫でスリップスとも呼ばれます。アザミウマには多くの種類がいますが、アジサイに発生しやすいのは「チャノキイロアザミウマ」です。
チャノキイロアザミウマは体色は黄色で体長0.8~1mm程度で成虫は翅(ハネ)のスジがあるのが特徴です。多発するのは6月~9月ですが、4月ごろから成虫や幼虫が新芽や軟らかい新葉を吸汁します。被害にあった葉は生育がわるくなり、奇形になります。

アジサイハバチ
アジサイハバチは蜂の仲間で、幼虫がアジサイの葉を食害します。幼虫は半透明のイモムシで、体が透けているのでいろいろな色に見えます。
4月頃から成虫が飛来し、アジサイの葉に卵を産み付けます。孵化した幼虫は4月中旬から5月に多発し、最初は葉に丸く小さな食痕が点々とできますが、食欲旺盛のため被害が広がると株が丸坊主になることもあります。

アオバハゴロモ
アオバハゴロモは、幼虫や成虫が植物の汁を吸って加害する昆虫です。幼虫は体長約10mm程度、体色は淡緑ですが、体全体に白い綿状のロウ物質でおおわれているため白色に見えます。成虫は体長6~8mm程度で、体色は淡青緑色で、縦に扁平な翅をもっています。
卵で越冬し、5月上旬ごろから幼虫が発生します。幼虫は触ると素早く跳ねて逃げます。7月~8月頃には成虫が枝にならんで吸汁します。それほど大きな被害はありませんが、幼虫から落ちた白い綿状の付着物質が新梢について汚れ見た目がわるくなります。

出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集

出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
アオドウメガネ
アオドウメガネは、コガネムシ科の昆虫で成虫がアジサイの葉を食害します。体長は17.5~25mm程度で、背面がつやのある緑色をしています。
成虫は5月~9月頃まで発生し、アジサイの葉を好み、夜に集団で飛んできて葉や茎を食べつくします。20〜25℃で活動が活発になり、7月下旬から9月上旬ぐらいが活動のピークです。

アジサイに発生する害虫の予防・対策方法
捕獲する
まず捕まえられるのであれば、捕殺しましょう。
アブラムシなどの小さな虫は、水圧で飛ばしたり歯ブラシなどをつかって駆除しましょう。アジサイハバチや、アオバハゴロモの幼虫などは割りばし等でつまんで捕まえましょう。
捕虫テープを張るのも有効です。虫によって好む色などがあるので発生する害虫に合わせて使いましょう。
アオドウメガネなどは、カメムシの捕獲にもよくつかわれるペットボトルを使った捕獲も有効です。ペットボトルに中性洗剤を入れた水をいれておき、ペットボトルの口から捕獲します。
虫の習性を利用して虫が飛来するのを防ぐ
アブラムシやアザミウマはキラキラと光るものを嫌います。光反射シートなどを敷くことで害虫の飛来を防ぐことができます。
アブラムシ、ハダニ、アザミウマを薬剤を使わずに防ぐ方法は、下記の記事で詳しく記載しているのでこちらも参考にしてください。トラップの作り方なども記載しています。



雑草の除草
雑草の除草は、すべての害虫の予防に効果のある方法です。雑草に住み着いて卵を産んだり、冬越しをした害虫が、アジサイに飛来して害を及ぼします。周辺の雑草はまめに除草しましょう。
薬剤を使った対策
多発している場合には、発生している害虫に効果がある殺虫剤などの薬剤(農薬)を使い、害虫を駆除しましょう。
農薬と聞くと、怖い、体に害があるのではないかと身構えてしまう人もいるかもしれませんが、日本で販売されている農薬は、人畜や環境に影響を与えないことなどの多くの厳しい審査を通ったものだけが、登録されています。
農薬には必ず、適用表と使用上の注意がラベルに記載されています。農薬は、適用表にかかれている作物、病気にしか使えません。使い方を間違えると、作物が枯れたり、体に害が及ぶこともあります。必ずラベルを読んで正しい使い方をしましょう。
あじさいには、作物名に「あじさい」の記載の他、「樹木」と書かれた農薬が使えます。花き類ではないので注意しましょう。
アブラムシ、カイガラムシ、ハダニ
家庭園芸などでは、アブラムシ、カイガラムシには「ベニカXネクストスプレー」 や「ベニカXファインスプレー」などのベニカシリーズの殺菌殺虫剤が使えます。
農薬の中には、食品由来の成分をつかった薬剤もあります。ロハピは、アブラムシやハダニに使えます。
アザミウマ
アザミウマは年に6~8回世代交代をして発生するため、発生すると完全駆除が難しい害虫です。家庭園芸でアザミウマに効果のある農薬は「家庭園芸用GFオルトラン粒剤」があります。
粒剤なので、株元に散布して水をあげるだけでアジサイが根から成分を吸い込みます。成分を吸い込んだアジサイの葉をアザミウマが吸汁することで、殺虫効果を発揮します。幼虫、成虫の発生したらすぐに散布しましょう。その後は効果をみながら2~3回散布します。効果が長く効くので2週間後に1度散布しましょう。
酢が原料の「やさお酢」はアザミウマを寄せ付けない予防効果があります。アブラムシやハダニにも効果があります。
アオドウメガネ
アオドウメガネはコガネムシの仲間なので、アジサイのコガネムシに適用がある農薬を使います。家庭用では、「マツグリーン液剤2」がおすすめです。マツグリーン液剤は、アオドウメガネだけでなくアブラムシ、カイガラムシ、ケムシにも使えます。
アジサイハバチ・アオバハゴロモ
アジサイハバチ・アオバハゴロモに適用のある農薬はないので、他の方法で対応しましょう。
まとめ
アジサイは比較的害虫が付きにくいといわれますが、庭で長年栽培していると害虫や病気などのトラブルにあいやすくなります。特に新芽がでるころには、虫たちも活動が活発になるのでよく観察して、発生初期に対応しましょう。





