ナスの褐紋病(かつもんびょう)は露地栽培で発生しやすい病気です。ここではナスに褐紋病が発生した場合の対処方法や、発生を防ぐ農薬や対策について説明します。
褐紋病の特徴・症状
褐紋病(かつもんびょう)は、カビの一種でナスだけを侵します。果実、葉、葉柄、枝に被害がでます。
平均気温が24~26℃になると発生し、28℃以上の過湿の状態になると発生増加します。露地栽培では梅雨明け頃に発生し、真夏にかけて増加し10月頃まで被害が続きます。
症状は初めに下葉に蒼白色の周りがぼやけた斑点が生じ、直径1cm程度の茶褐色の輪紋へと変わり黒い小粒点が同心円状に現れます。次第に上の葉や枝や果実へにも発病します。果実はへこんで同心円状の輪紋が現れ、次第に黒い小粒点が現れます。苗木に発症した場合は、立枯れします。

ナス 褐紋病にかかった場合の対処方法
ナスが褐紋病にかかった場合はどのように対処したらよいのでしょうか。まずは発生した被害葉・茎・果実は見つけ次第除去し、圃場外で焼却処分します。その後、ベノミル水和剤(ベンレート水和剤)などの農薬を散布します。
発生した株や圃場からの種取りは、次回感染の危険があるため行わず、連作も避けましょう。
ナス 褐紋病の農薬を使った防除
散布時期 | 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期間 | 使用回数 | 使用方法 | FRACコード | 備考 |
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生育期 (病気発生初期) | ベンレート水和剤 | 2000倍 | 100〜300㍑/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 | 1 | 種子伝染性病害、土壌病害などの広い病気に効果のあるベノミル水和剤。 浸透性と耐雨性に優れた薬剤です。 |
生育期 (病気発生初期) | スクレアフロアブル | 2000倍 | 100〜300㍑/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 | 11 | マンデストロビンを有効成分とするストロビルリン系殺菌剤 浸透性と耐雨性に優れた薬剤です。 |
生育期 (病気発生初期) | ベルクートフロアブル | 150mL/10a 2000倍 | 10㍑/10a 100〜300㍑/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 常温煙霧 散布 | M7 | イミノクタジンアルベシル酸塩を有効成分とする殺菌剤 ナスの多くの病害に適用があります。 常温煙霧も可能な薬剤です。 |
この他にもナスには多くの農薬が使えます。ナスの褐紋病に適用のある農薬は下記からほぼすべての農薬が検索できます。
ナス 化学農薬以外で褐紋病を予防する方法
圃場・栽培管理
高温多湿により発生が増えることから、圃場は排水を良くし密林にせず、風通しの良い環境を保ちましょう。
窒素質肥料は多用せず、茎が軟弱にならないように育成管理しましょう。
被害のあった葉や茎、果実は切り取って圃場の外に捨てるか、焼却すること。切り取るときに使ったハサミは消毒して使いましょう。
種子消毒
褐紋病だけでなく他の種子伝染病害の防除を兼ねて、乾熱種子消毒を行うとよいでしょう。温度はを70~72℃で3日間行います。
農業アプリを活用しましょう
今まで農業日誌や栽培記録、ノートやパソコンで管理していたという人には、農業に役立つアプリを活用しませんか。農家webの「かんたん栽培日誌」アプリはスマホから作物と地域を入力するだけで、防除暦、栽培カレンダーが自動表示。実際の栽培記録はタップ一つで登録可能。自社の「農薬検索データベース」「かんたん農薬希釈計算アプリ」と連動しているので、散布したい農薬をいれればラベルをみなくとも希釈計算も可能で、散布回数もカウントしてくれます。
また地方自治体から発表される予察情報も反映しているので、農家の防除に役立つアプリです。ダウンロードも不要で、ID登録だけですべての機能が無料で使えるアプリです。ぜひ一度使ってみてください。