トマトの露地栽培では、カメムシ類が葉や果実を食害することがあります。果実が吸水されると変形、黒ずみ、腐敗などをおこします。ここではトマトのカメムシ類に使える農薬やその他の防除方法について説明します。
トマトのカメムシ類の種類・被害について
トマトの葉や果実を食害するカメムシ類は複数いますが、ミナミアオカメムシ、アオクサカメムシの被害が特に大きく、ブチヒゲカメムシ,チャバネアオカメムシ,ホオズキカメムシの他、天敵を利用しているハウス栽培ではタバコカスミカメの被害も発生しやすくなります。
カメムシに葉や茎を食害されると、食害された部分の先がしおれることがあります。熟した実よりも若い果実を好みます、吸汁後は目立ちませんが吸水した部分から黒色に変色して腐敗する、または果肉がスポンジ状になり品質を著しく低下します。


トマト栽培 カメムシ類の防除期間・方法
トマト栽培でカメムシが多発するのは8月~10月頃まで。トマトを食害するカメムシは、トマトの圃場で発生するより、圃場周辺のイネや大豆などの圃場で発生し飛来してくることが多いので、他の圃場の発生情報にも気をつけましょう。
トマトのカメムシ類の防除方法は、予防として防虫ネット設置などの耕種的防除の他、葉裏に卵を産み付け若齢幼虫は集団で行動する習性があるので、発見しやすいため葉ごと取り除くか捕殺する物理的防除も有効です。多発した場合には化学農薬による化学的防除のを行いましょう。
トマトのカメムシ類に使える農薬と使い方
カメムシ類には有機リン系、合成ピレスロイド系、ネオニコチノイド系殺虫剤の農薬散布で効果を発揮しますが、トマトに適用のある農薬は多くありません。
農薬散布は、発見が遅れないように圃場をよく観察し、集団で行動する若年幼虫の時までに散布すると効果的です。カメムシの発生が局所的であれば部分散布をし、対応できないようなら全面散布をしましょう。
ハウス栽培で、タバコカスミカメが発生している場合はコナジラミ類の天敵なのでコナジラミ類が多く発生しているときには天敵として利用し、密度が低くなってきてから農薬散布をしましょう。
トマトのカメムシ類に適用のある農薬と散布時期
トマトのカメムシ類に使える農薬と散布時期の一例です。
散布時期 | 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期間 | 使用回数 | 使用方法 | IRACコード | 備考 |
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害虫発生初期~ | マラソン粉剤3 | 3kg/10a | 収穫前日まで | 5回以内 | 散布 | 1B | 有機リン系の殺虫剤で、安価で手に入れやすい薬剤です。 残効が短いため、多発時には連続散布が必要です。 | |
害虫発生初期~ | スタークル顆粒水溶剤 | 2000倍 | 100〜300㍑/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 | 4A | ネオニコチノイド系殺虫剤で、残効性が長く、浸透移行性、速効性に優れています。 ミニトマトにも使えます。 同じ有効成分ジノテフランのアルバリン顆粒水溶剤も使えます。 |
害虫発生初期~ | パイベニカVスプレー | 原液 | ー | 収穫前日まで | 6回以内 | 散布 | 3A | トマト、ミニトマトのホオズキカメムシに適用のある薬剤。 植物うまれの天然成分100%の殺虫スプレー剤で、有機栽培にも使えます。 |
他にもトマトに適用のある農薬は下記からほぼすべての農薬が検索できます。
化学農薬以外の防除方法
防虫ネットの設置
トマトを防虫ネットで覆うことで、カメムシの飛来を阻止することができます。カメムシだけなら3㎜程度でもよいですが、トマトの他の害虫(コナジラミやアブラムシ類)なども防除するなら0.4mm以下の防虫ネットがおすすめです。
ミントの栽培
カメムシはミントの香りが苦手です。家庭菜園などでは畑の周りにプランター栽培のミントを置いておくのも効果があります。地植えするとミントは増えすぎて畑を侵食してしまうので、プランター栽培がおすすめです。
その他対策のポイント
各地域の防除暦や予察情報などに注意し、適期に防除対策をすることが大切です。イネや大豆などの周りの圃場で多発している場合には、収穫が終わると大量発生することもありますので地域で対策に取り組む必要があります。
カメムシ類以外にもトマトに発生する病害虫は多いため、発生しやすい病気と一緒に予防しましょう。多いため、発生しやすい病気と一緒に予防しましょう。
農業アプリを活用しましょう
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