アブラムシは植物を弱らせるだけでなく、病気を発症させることがあります。ここではバラにアブラムシが発生した場合に駆除する農薬や農薬以外のその他の対策方法について説明します。
バラに発生しやすいアブラムシの特徴・被害
バラに発生しやすいアブラムシの種類と特徴
アブラムシはカメムシ目のアブラムシ上科に属する昆虫で、アブラムシは日本には700種以上がいるといわれるほど非常に種類が多く、種類により色や大きさも違います。
バラには、イバラヒゲナガアブラムシ、バラミドリアブラムシ、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシなどが発生します。
| アブラムシの名前 | 特徴 |
|---|---|
| イバラヒゲナガアブラムシ | 体長2㎜~2.5㎜程度の大型のアブラムシ 春にノイバラに発生します。 成虫の体色は緑色で頭部付近は赤褐色になります。 |
| バラミドリアブラムシ | 体長1.2㎜~2㎜程度のアブラムシ 成虫の体色は黄色から明るい緑色。 イバラヒゲナガアブラムシより小さく、体に網目がない |
| モモアカアブラムシ | 体長2㎜程度の大型のアブラムシ 体色は黄緑色、緑色、赤褐色と変化に富む さまざまな作物に寄生し、繁殖力が高いため、さまざまな 農作物に被害を及ぼします。 |
| ワタアブラムシ | 体長1.2㎜~1.5㎜程度の小型のアブラムシ 体色は黒から緑、黄白色と変化に富む モモアカアブラムシと同様にさまざまな作物に寄生します。 |




画像出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
バラのアブラムシの被害
アブラムシはバラの新芽、新梢、葉、萼(がく)に寄生します。花弁には寄生しません。発生適温は20~25℃、バラには真夏を除く5~9月に被害が多くなります。
アブラムシは直接植物の汁を吸うことでバラに害を与えるだけでなく、排泄物を作物にかけ、黒いすす状のカビを増殖させたり、光合成が妨げられて新芽や花の生育が抑制されることもあります。


写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集
バラにアブラムシが寄生してしまった場合の対処法
バラにアブラムシが寄生しているのを見つけたら、多発していないようでしたらまずは物理的にアブラムシを駆除しましょう。シャワーの水圧で吹き飛ばしたり、セロハンテープなどで除去します。
発生初期であれば、これだけでよい場合もあります。予防対策を行っていないようでしたら、シルバーテープを張る、粘着テープを使うなどの予防対処法をしましょう。
大量発生している、物理的に駆除しても次々と発生してくるようであれば、農薬(薬剤)をつかって駆除しましょう。
農薬(薬剤)の選び方・使用方法について
アブラムシ類には、薬剤抵抗性が発生しており一部の農薬は、散布しても効果が薄いことがあります。特に有機りん系、カーバメート系剤,合成ピレスロイド系剤の他、近年はワタアブラムシにネオニコチノイド系の農薬に抵抗性が発生しています。農薬を散布しても効果がない場合には、異なる系統の農薬を散布して効果を確認しましょう。
農薬は同じ農薬系統の農薬を使い続けると、新たな抵抗性を発生させることになるため、複数回散布するときはなるべく違う系統の農薬を使う、ローテーション散布をしましょう。商品名が違っても同じ系統の農薬もあるので、系統は殺虫剤にはIRACコードが違うものを選びます。
家庭ではいろいろな農薬を購入するのは難しいという場合は、1年ごとに使うなどの工夫が必要です。
またアブラムシには多くの天敵がいます。天敵を活用するためには、アブラムシには効果があって天敵には影響のない農薬を選び、農薬以外の対策と併用して農薬散布の回数を減らすことも大切です。
ばらのアブラムシ類を駆除する農薬
ばらに使えるアブラムシ類に適用のある有機りん系(1B)、カーバメート系剤(1A),合成ピレスロイド系剤(3A)ネオニコチノイド系剤(4A)、以外の殺虫剤をいくつか紹介します。使用回数がある場合もありますので、複数回散布する際には、回数にも気を付けましょう。
| 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期間 | 使用回数 | 使用方法 | IRACコード | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| コルト顆粒水和剤 | 4000倍 | 100〜300㍑/10a | 発病初期 | 4回以内 | 散布 | 9B | スルホキシイミン系の殺虫剤。 即効性(速効性)、浸達性に優れ、 天敵にも影響の少ない薬剤です。 |
| ムシラップ | 500倍 | 100〜300㍑/10a | 発病初期 | ー | 散布 | ー | 花き類に適用のある殺菌剤。 食品添加剤をベースとした殺虫殺菌剤で、回数制限もなく 家庭でも安心して使えます。 |
| ウララ50DF | 10000倍 | 100〜300㍑/10a ー | 発病初期 | 6回以内 | 散布 | 29 | ピリジンカルボキサミド系)の殺虫剤で、 アブラムシ類に特に高い効果を発揮します。 浸透移行性、残効性と耐雨性も持ち、天敵にも影響の少ない薬剤です。 |
| サンヨール液剤AL | 原液 | ー | ー | 8回以内 | 散布 | ー | バラのアブラムシだけでなく、病気にも使える家庭園芸用殺菌殺虫剤。 希釈の必要もなく、そのままスプレーするだけで使え、 窒息させて駆除するため、抵抗性が出にくい薬剤です。 |
農薬以外のその他の対策方法
アブラムシが大量発生してからの対応は難しいため、毎年発生するという場合には予防措置や農薬を使わない対策をすることが、薬剤散布の回数を減らすことにもつながります。
光の乱反射を利用する
アブラムシは、キラキラと、光が乱反射するのを嫌う習性があります。これを利用し、アルミホイルやシルバーテープ、防鳥テープなどを張っておくのも有効です。
アブラムシが嫌いな臭いを利用する
アブラムシが嫌がる匂いを出すもの、資材を置くことで防除する方法もあります。代表的なのは、モミガラくん炭などのくん炭です。作物の株間に、くん炭をひと握りずつ置いていくのは、防除に大変有効です。
くん炭、木炭を焼くときに発生する水蒸気を冷やして液体にした木の酢と言われる「木酢液」もアブラムシは嫌がります。木酢液の原液を希釈(薄めること)してボトルに入れ、スプレー等で葉面、葉裏に散布することで、アブラムシの防除になります。(希釈濃度の目安は、500〜1000倍です)
黄色い粘着トラップの利用
アブラムシは黄色のものに集まる習性があります。これを利用して、黄色の粘着テープを設置するのも有効です。
雑草の除草
モモアカアブラムシやワタアブラムシは、雑食なため他の作物や雑草にも発生します。周辺に餌場があると、そこで発生したアブラムシがバラに移動してくることもあるため、雑草の除草もアブラムシ対策になります。

このほか、無農薬でアブラムシを駆除したり予防する方法がいろいろあります。無農薬のアブラムシ対策は下記の記事も参考にしてください
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