きゅうりの葉っぱに穴があいていたらウリハムシの仕業かもしれません。ここではきゅうり栽培でウリハムシの駆除につかえる農薬や、農薬を使わない対策について説明します。
ウリハムシの特徴と被害について
ウリハムシはハムシ科のカブトムシの仲間でウリバエとも呼ばれます。ウリハムシの名のとおりウリ科の作物を好み、成虫が葉や茎をを、幼虫が根を食害します。成虫は体長7~8mmで全体的に光沢のある橙黄色成虫です。成虫のの食跡は直径1cm~2cmの円形が特徴的です。
生態は年に1度発生し、4月下旬から7月上旬にきゅうりの根元に産卵します。幼虫は6月~8月頃に発生し細い根を食害し、次第に太い根も食べるようになります。
成虫の被害は5月下旬~6月が最も大きく、幼虫被害は6月下旬~7月下旬に最も多く発生します。露地の場合は生育初期に成虫による被害がその後の生育に大きな影響をうけるため、産卵最盛期に防除することが重要になります。


きゅうり ウリハムシの防除期間・方法
きゅうり栽培の場合、ウリハムシの化学農薬の防除の時期はウリハムシの飛来最盛期の5月下旬から6月頃。地域やその年によっても飛来最盛期は変わるので、各都道府県病害虫防除所の発生予察情報を参考にするとよいでしょう。毎年被害が多い圃場では、幼虫の防除として接ぎ木にカボチャ台などを使った苗を使うか、定植時に土壌混和できる薬剤を使います。
化学農薬以外のウリハムシの防除方法は、シルバーポリマルチを使い成虫の飛来を阻害する物理的防除、コンパニオンプランツの栽培や台木利用などの耕種的防除などがあります。農薬を使う場合も同時に対策することで農薬の量や頻度を減らすことができます。
きゅうりのウリハムシへの農薬散布のポイント
成虫防除の化学農薬の散布のポイントは、飛来最盛期に株元散布です。散布は10株当たり10匹以上ウリハムシが飛来しているようなら散布しましょう。散布は2回、2回めは1回目の散布から5~7日後が適期です、できれば作用が異なる農薬を散布しましょう。
毎年ウリハムシの被害にあっている場合には、植えつけ時に土壌混和する農薬を使い幼虫を防除します。
きゅうり ウリハムシに適用がある農薬
農薬は害虫への抵抗性を発生しないためにも、RACコードを参考に作用が異なる農薬を使い、使用回数や期限、他の害虫の発生時期に気をつけてローテーション散布をしましょう。
散布時期 | 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期間 | 使用回数 | 使用方法 | IRACコード | 備考 |
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播種時 植付時 | ダイアジノン粒剤3 | 6〜9kg/10a | は種時又は植付時 | 2回以内 | 土壌混和 | 1B | 土壌混和処理でウリハムシの幼虫を防除します。 タネバエ、ケラ、ネキリムシ類、コガネムシ類幼虫にも適用があるため 同時防除が可能です。 | |
害虫発生期 | モスピラン顆粒水溶剤 | 4000倍 | 100〜300㍑/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 | 4A | 速効性と浸透移行性があるので、速く長く効果を実感できる薬剤です。 コナジラミ類、アザミウマ類、アブラムシ類、ウリノメイガにも適用があるため同時防除が可能です。 |
害虫発生期 | トレボン粉剤DL | 3~4kg/10a | 収穫3日前まで | 3回以内 | 散布 | 3A | 合成ピレスロイド系で速効性と速効性や残効性にも優れた殺虫剤です。 アブラムシ類にも適用があるため同時防除が可能です。 | |
害虫発生期 | コテツフロアブル | 2000倍 | 100〜300㍑/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 | 13 | ピロール系呼吸系阻害剤。 ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、ハダニ類、ウリノメイガにも適用があるため同時防除が可能です。 |
害虫発生期 | パイベニカVスプレー | 原液 | 収穫前日まで | 5回以内 | 散布 | 3A | 植物うまれ、天然成分100%の殺虫スプレー剤。 有機栽培でも使える殺虫剤で、家庭菜園などでなるべく農薬を使いたくない人にもおすすめ。 |
他にもマラソン等の農薬もよく使われます。キュウリのウリハムシに適用のある農薬は下記からほぼすべての農薬が検索できます。
化学農薬以外の防除方法
シルバーマルチ
ウリハムシは、キラキラと、光が乱反射するのを嫌う習性があります。これを利用して、マルチをシルバーマルチに変えるのは、ウリハムシの飛来を抑制するのに非常に有効です。
また、防鳥テープも光が当たると乱反射するので有効です。農作物の生長点と株の中の間くらいに、ビーっと一本ずつ張っておくと予防になります。
コンパニオンプランツの栽培
コンパニオンプランツとは、近くで栽培することでお互いの作物に良い影響を与え、共栄しあう複数の植物の組み合わせ、またそれに該当する植物のことを言います。
ウリハムシは、ネギやマリーゴールドの香りが苦手。近くで育てることによってウリハムシを寄せ付けなくさせることができます。マリーゴールドは敷ワラ代わりに使っても効果があるといわれます。
かぼちゃ台木の利用
ウリ科の作物にはかぼちゃ台木が良く利用されます。カボチャを台木として利用することでウリハムシの被害だけでなく、土壌病害や一部のセンチュウなどの被害を回避することができます。
その他きゅうりの防除暦については詳しい記事がありますので、キュウリの病気や害虫に困っているようでしたらこちらも参考にしてください
農業アプリを活用しましょう
今まで農業日誌や栽培記録、ノートやパソコンで管理していたという人には、農業に役立つアプリを活用しませんか。農家webの「かんたん栽培日誌」アプリはスマホから作物と地域を入力するだけで、防除暦、栽培カレンダーが自動表示。実際の栽培記録はタップ一つで登録可能。自社の「農薬検索データベース」「かんたん農薬希釈計算アプリ」と連動しているので、散布したい農薬をいれればラベルをみなくとも希釈計算も可能で、散布回数もカウントしてくれます。
また地方自治体から発表される予察情報も反映しているので、農家の防除に役立つアプリです。ダウンロードも不要で、ID登録だけですべての機能が無料で使えるアプリです。ぜひ一度使ってみてください。