黒すす病に効く農薬、防除方法について徹底解説！

黒すす病はブロッコリーやキャベツなどに発生する病気で、近年増加傾向にあります。ここでは黒すす病とは何なのか、また黒すす病を防ぐためにはどうすればいいのか解説していきます。

黒すす病とはどんな病気？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

黒すす病の特徴

黒すす病は、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科に発生する病気で、病原菌はアルタナリア属菌のカビ（糸状菌）の一種です。黒すす病菌の胞子は大量に次の胞子（分生子）を形成し、風や雨で飛散して空気伝染して広がります。

発病適温は25℃前後で、4～10月の高温、多湿時に被害が発生しやすくなります。保菌種子が伝染源となって種子から苗へ伝染したり、土にも長く生存するため土壌伝染にも注意が必要です。

黒すす病の症状

葉や茎に数㎜の灰～黒色の円形の病斑が現れます。その後黒くなって直径1cm～3cm程度の大きさになり全体に広がっていきます。最終的には円の中央から穴がひらいて枯死します。

写真提供：HP埼玉の農作物病害虫写真集

黒すす病の防除のポイント

黒すす病の防除は、発生前の防除が重要です。

連作した圃場での発生が多いので、連作は避けましょう。また多発してしまった圃場では土壌消毒も検討してください。

薬剤を使う場合には、予防として種子消毒をする、もしくは消毒済みの種子を使いましょう。定植時には葉に発生していないか確認し、長雨が続く時期の前に予防として薬剤の散布も検討しましょう。

黒すす病に効果がある農薬

黒すす病には、FRACコード「７」のSDHI殺菌剤(コハク酸脱水素酵素阻害剤）もしくは、FRACコード「11」のQoI殺菌剤(Qo阻害剤)が使われます。またキャベツの種子消毒には、ポリオキシンAL水溶剤に適用があります。

アフェットフロアブル

FRACコード：７　有効成分: ペンチオピラド

アフェットフロアブルは、ピラゾール系の殺菌剤ペンチオピラドを主成分とするアニライド系の殺菌剤です。黒すす病には、はなやさい類に収穫前日まで使える薬剤です。浸達性と残効性にも優れていることから、予防効果と治療効果の両方を持った殺菌剤です。

ファンタジスタ顆粒水和剤

RACコード：11　有効成分: ピリベンカルブ

ファンタジスタ顆粒水和剤は、新規系統ベンジルカーバメート系の有効成分ピリベンカルブを含有しており、広い範囲の病害に対して高い防除効果を示します。病害の予防効果だけでなく、病斑進展阻止効果もあります。浸達性と浸透移行性の両方があります。黒すす病には「はなやさい類」に適用があります。

ポリオキシンＡＬ水溶剤「科研」

RACコード：19　有効成分：ポリオキシン複合体

ポリオキシンＡＬ水溶剤は、キャベツの黒すす病に唯一適用のある種子消毒から生育初期に灌注で使える薬剤です。微生物由来の天然物質からなる殺菌殺ダニ剤で、浸透移行性が高く予防効果と治療効果の優れた薬剤です。

化学農薬以外で黒すす病を予防する方法

連作しない

連作は避けましょう。同じ作物以外でもアブラナ科の連作も避けましょう。多発する圃場では土壌消毒も有効です。

土壌・圃場管理

育苗中は高温多湿を避けましょう。また発生株がある場合には、圃場に発生した茎や葉を残さないようにしましょう。切り取った葉だけでなく、枯れて落ちた葉なども排除します。

セル成型育苗は底面給水で行う

育苗期間は、潅水時すると胞子が飛散し、感染が広がる可能性があるため底面給水をすることで、発病を抑制することができます。

まとめ

黒すす病は、カイガラムシ等の害虫が出す甘露（排泄物）に寄生するすす病とは違い、作物上で増え空中感染を引き起こします。予防防除に努め、なるべく発生させないこと。ブロッコリーなどの場合は、下葉の発生段階で食い止めることができれば、作物に影響が少なくなります。

黒すす病に適用のある農薬は少ないですが、他の菌核病やベト病などに適用のある農薬でも効果が期待できるので、同じ農薬に頼らずローテーション散布を心がけましょう。