みかんなどのカンキツ類の葉や枝、果実に寄生し大きな被害をもたらします。ここではヤノネカイガラムシを防除する農薬やその他の対策について説明します。
ヤノネカイガラムシの特徴・被害
ヤノネカイガラムシはカメムシ目マルカイガラムシ科の昆虫で、年間に気温の低い地域では2回、高い地域では3回発生します。発生適温は25〜28℃で、第1世代が5〜6月、第2世代が7〜8月、第3世代は10月がピークで、第2~3世代が越冬して春に産卵します。
メスとオスでは見た目が異なります。メスの成虫の介殻は紫褐色から茶褐色で、名前の由来である矢の根(矢じり)に似合た細長い形をしています。オスの幼虫の介殻は白色で細長く、介殻の中で蛹となり成虫は翅をもっています。
被害は成虫及び幼虫がカンキツ類の葉や枝、果実を吸汁します。寄生した部分んが黄色に変色し、被害がひどくなると落葉し枯死します。果実に寄生するとゴマがついたようになり商品価値がします。



画像出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
ヤノネカイガラムシの防除適期・方法
ヤノネカイガラムシの防除の適期は越冬と第一世代に重点的に行います。予防としても冬期のマシン油乳剤散布は有効です。
防除方法は化学農薬をつかった方法以外にも、天敵(ヤノネキイロコバチ、ヤノネツヤコバチ)を使った生物的防除、枝の伐採などの物理的防除などを組み合わせて行うことが重要です。
ヤノネカイガラムシ 化学農薬散布のポイント
越冬成虫には冬季のマシン油乳剤が有効です。12月下旬から1月中旬に散布しますが、樹勢が弱い場合には厳寒期はさけ、3月末までには散布しましょう。マシン油乳剤には95%と97%があります。97%のほうがカイガラムシに効果が高いといわれますが、樹勢が強くない場合には95%を使うとよいとされます。
マシン油乳剤は散布ムラや雨に弱いので、天気の良い日に丁寧に散布しましょう。成虫にはマシン油乳剤が有効ですが、夏のマシン油乳剤は薬害の可能性があるため、第1世代の幼虫発生期の6月以降は幼虫に強い薬剤を散布します。
また天敵を使った防除を併用する場合には、特に寄生蜂を放飼した後、2~3か月は寄生蜂に影響のない薬剤を使用するなどの対応が必要です。
ヤノネカイガラムシに効く農薬
カンキツ類に使えるヤノネカイガラムシ、カイガラムシ類に適用のある農薬をいくつか紹介します。
| 散布時期 | 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期間 | 使用回数 | 使用方法 | IRACコード | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 冬期 | キング95マシン | 30〜45倍 | 冬期 | 散布 | 95%のマシン油乳剤です。 冬期の散布は、ハダニ越冬卵にも有効です。 | |||
冬期 | スプレーオイル | 50〜80倍 | 200〜700㍑/10a | 12月〜3月 | 散布 | 97%のマシン油乳剤です。 冬期の散布は、ハダニ越冬卵にも有効です。 | ||
| 害虫発生期 | アプロードフロアブル | 1000倍 | 200〜700㍑/10a | 収穫45日前まで (みかんは収穫14日前まで) | 3回以内 | 散布 | 16 | カイガラムシ類幼虫に適用のある薬剤です。 残効性が高く、天敵に優しい薬剤です。 |
| 害虫発生期 | コルト顆粒水和剤 | 2000〜3000倍 | 200〜700㍑/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 | 9B | カイガラムシ類に適用のある薬剤 即効性(速効性)、浸達性、残効性にすぐれています。 天敵にも安全で、チャノキイロアザミウマやアブラムシ等と同時防除が可能です |
この他にもかんきつ類には多くの農薬が使えます。かんきつ類のヤノネカイガラムシ、カイガラムシ類に適用のある農薬は下記からほぼすべての農薬が検索できます。
化学農薬以外の防除方法
天敵の利用
ヤノネカイガラムシの天敵として2種の寄生蜂(ヤノネキイロコバチ,ヤノネツヤコバチ)が中国から輸入され、大きな成果をあげています。現在は多くの地域の果樹園に生息しています。
すでに生息している場合には、寄生蜂に悪影響のある農薬は散布しないようにしましょう。寄生蜂を放飼する場合の6月~9月が適期です。一度放飼すれば定着します。
寄生している枝や葉の除去
ヤノネカイガラムシが寄生している枝や葉は切り取って処分しましょう。3月の剪定時期には、ヤノネカイガラムシが発生していないかよく確認し、発生している場合には切り取り、薬剤散布をしましょう。
農業アプリを活用しましょう
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