農薬の散布は手間がかかります。農薬には混合剤も多く販売していますが、金額が高いことなどから自分で混用して散布している農家も多くいます。ここでは農薬の混用についての注意点や混用の順番についてわかりやすく説明します。
混ぜてはいけない農薬もあるの?
農薬の使用時に、いくつかの農薬を混用して散布することは「現地混合」や「庭先混合」と呼ばれますが、農林水産省ではその効果や薬害、安全性の観点から農薬の混用は推奨はしておらず、自己責任で行うこととしています。
とはいえ多くの農家では効率化の観点から広く行われています。しかしせっかく農薬を散布したのに混合することで効果が落ちたり、薬害がでてしまっては意味がありません。では混ぜてはいけない農薬はどうやって判別すればよいのでしょうか。
農薬の製品ラベルを確認する
農薬の製品ラベルには「効果・薬害等の注意」と「安全使用上の注意」の注意事項が確認されています。混用で薬害が生じる場合には、効果・薬害等の注意に「○○系の殺菌剤との混合は効果がおちることがあります」などと記載されていることがあります。
製品ラベルは、混用以外でも薬害や効果が出る農薬散布の方法なども記載されているので、慣れている薬剤でも記載が変更されていることもあります。きちんと使う前に確認しましょう。
混用表を活用する
農薬メーカーや全農などから、「混用実例」が発行されており、混用がOKなもの、薬害がでたものなどを見ることができます。すべての農薬の組み合わせがあるわけではないですが、混用する場合にはこれらを活用しましょう。
記載がないものは、メーカーに直接確認するなどして問題がないか確かめてから散布しましょう。
農薬を水に溶かす順番
農薬を混用をするときには、水に溶かす順番も大切です。農薬を水に溶かす順番は「水に溶けやすい順」です。水に溶けやすい順番にいれることで、沈殿や変性を起こしにくくします。
最も水に溶けやすいのは展着剤(て)、液剤や水液剤、次に乳剤(に)、最後に完全に水に溶けないフロアブル剤・顆粒水和剤・水和剤などの水和剤(す)。「テ・ニ・ス」と覚えるとよいでしょう。
展着剤は最初に入れるのが基本ですが、。泡立ちやすい展着剤は最初にいれると混ぜにくくなります。また展着剤には最初に入れることを推奨されていないものもありますのでラベルをよく読んで使いましょう。

混用するときの注意点
混用する場合には、混用がOKの薬剤同士でも下記の点に気をつけて混用しましょう。
- 農薬の混用は展着剤+2剤まで
- 気温が高い時間帯に散布しない
- 混用した農薬はすぐに使い、余っても保存しない
また農薬以外でも、肥料を混用する場合には有毒ガスが発生することがあるので、石灰硫黄合剤や銅剤等のアルカリ性の農薬と酸性の液肥は絶対に混ぜてはいけません。
農業アプリを活用しましょう
今まで農業日誌や栽培記録、ノートやパソコンで管理していたという人には、農業に役立つアプリを活用しませんか。農家webの「かんたん栽培日誌」アプリはスマホから作物と地域を入力するだけで、防除暦、栽培カレンダーが自動表示。実際の栽培記録はタップ一つで登録可能。自社の「農薬検索データベース」「かんたん農薬希釈計算アプリ」と連動しているので、散布したい農薬をいれればラベルをみなくとも希釈計算も可能で、散布回数もカウントしてくれます。また自分の農薬を登録することでどの農薬と混用できるかすぐにわかります。
また地方自治体から発表される予察情報も反映しているので、農家の防除に役立つアプリです。ダウンロードも不要で、ID登録だけですべての機能が無料で使えるアプリです。ぜひ一度使ってみてください。