バラ栽培において、ハダニはもっとも警戒が必要な害虫の一つです。ここではバラにハダニが発生した場合に駆除する農薬や農薬以外のその他の対策方法について説明します。
バラに発生しやすいハダニの特徴・被害
バラに発生しやすいハダニの種類と特徴
ハダニはダニの仲間で、クモの仲間、ハダニ上科に属します。体長は0.3~0.8mmと非常に小さく、吐糸管から糸を出すため、英名は「Spider mite」と呼ばれています。ハダニの種類は非常に多く、種類により色や大きさも違います。
バラには、6~10月に発生が多く、ナミハダニ、カンザワハダニの2種が主ですが、チャノホコリダニも発生することがあります。高温と乾燥した環境を好み、雨が苦手なため、ビニールハウスや温室の他、マンションのベランダなどで発生が多くなります。
| ハダニの種類 | 特徴 |
|---|---|
| ナミハダニ | ナミハダニには緑色のナミハダニの他、 赤色のニセナミハダニがいます。 体長は成虫で0.4~0.5mm、増殖能力が非常に高い。 |
| カンザワハダニ | 赤ダニの代表種で、雌成虫の体色はくすんだ赤色で 体側に不規則な暗色斑を持つ。 体長は成虫で0.4~0.5mm |
| チャノホコリダニ | 成虫の体長は0.2~0.25mmほどの微小なダニ 成虫は卵形で淡黄緑色、幼虫は白色 多くの植物に寄生し、被害が大きいハダニ。 |




画像出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
バラのハダニの被害
ハダニの成虫や幼虫が、バラの葉や花を食害します。発生初期は新しい葉に出やすく、葉の表面に小さなかすり状の白い斑点ができます。そのまま放置すると、葉一面がカスリ状になって、褐変し枯死し落葉します。



写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集
バラにハダニが寄生してしまった場合の対処法
バラにハダニが寄生しているのを見つけたら、多発していないようでしたらまずは物理的にハダニを駆除しましょう。シャワーの水圧で吹き飛ばしたり、セロハンテープなどで除去します。
大量発生している、物理的に駆除しても次々と発生してくるようであれば、農薬(薬剤)をつかって駆除しましょう。駆除した後は、予防措置を行いながら発生が増えていないか観察して早期発見に努めましょう。
農薬(薬剤)の選び方・使用方法について
ハダニには、薬剤抵抗性が発生しており古くから使われている一部の農薬は、散布しても効果が薄いことがあります。特に有機リン系・合成ピレスロイド系の農薬に抵抗性が発生しています。特にナミハダニの黄緑型には多くの殺ダニ剤に抵抗性が発生しています。地域によっても抵抗性薬剤はことなるため農薬を散布しても効果がない場合には、異なる系統の農薬を散布して効果を確認しましょう。
また農薬は同じ農薬系統の農薬を使い続けると、新たな抵抗性を発生させることになるため、複数回散布するときはなるべく違う系統の農薬を使う、ローテーション散布をしましょう。商品名が違っても同じ系統の農薬もあるので、系統は殺虫剤にはIRACコードが違うものを選びます。
家庭ではいろいろな農薬を購入するのは難しいという場合は、1年ごとに使う、抵抗性の出にくい薬剤を使うなどのの工夫が必要です。
近年、農家ではハダニの天敵(カブリダニ)をつかった防除が増えています。天敵を活用するためには、ハダニには効果があって天敵には影響のない農薬を選び、農薬以外の対策と併用して農薬散布の回数を減らすことも大切です。
ばらのハダニ類を駆除する農薬
ばらに使えるアブラムシ類に適用のある有機りん系(1B)、合成ピレスロイド系剤(3A)以外の殺虫剤をいくつか紹介します。使用回数がある場合もありますので、複数回散布する際には、回数にも気を付けましょう。
| 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期間 | 使用回数 | 使用方法 | IRACコード | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| コロマイト水和剤 | 2000倍 | 100〜200㍑/10a | 発生初期 | 2回以内 | 散布 | 6 | 有機栽培にも使える微生物由来の新殺ダニ剤 低濃度で速効的に効き、既存剤に対する抵抗性のある ダニにも有効です。 |
| ダニサラバフロアブル | 500倍 | 100〜350㍑/10a | 発病初期 | 2回以内 | 散布 | 23 | 花き類に適用のある殺ダニ剤 ナミハダニ、カンザワハダニ等の すべてのステージに効果があります。 天敵にも影響の少ない薬剤です。 |
| ニッソラン水和剤 | 2000〜3000倍 | 100〜300㍑/10a | ー | 2回以内 | 散布 | 29 | 花き類に適用のある殺ダニ剤 殺卵力が強く、残効性に優れており、 天敵に影響の少ない薬剤です |
| ダニオーテフロアブル | 2000倍 | 100〜300㍑/10a | 発生初期 | 2回以内 | 散布 | 33 | 花き類に適用のある新規の作用機構を持つ殺ダニ剤 抵抗性を持ったハダニにも効果的 殺卵力が強く、残効性に優れた薬剤です |
| ベニカナチュラルスプレー | 原液 | ー | 発生初期 | ー | 散布 | 11A | 天然成分由来で回数制限もない、安全に家庭で使いやすい薬剤。 バラのさまざまな病害虫に適用があります。 ハダニの幼虫・成虫・卵すべてのステージに効果が期待できます。 |

このほかにも、ばらのハダニに使える農薬は多くあります。農薬検索データベースでは、ほぼすべての農薬を検索することができます。IRACコードも記載してあるので便利です。
バラには作物名に「ばら」の記載の他、「花き類・観葉植物」と書かれた農薬が使えます。
農薬以外のその他の対策方法
ハダニが大量発生してからの対応は難しいため、毎年発生するという場合には予防措置や農薬を使わない対策をすることが、薬剤散布の回数を減らすことにもつながります。
水をかける
ハダニは、乾燥を好み水が苦手。ハダニは葉裏に生息し、下葉からつきます。水を葉裏にかける、予防には葉水をするのも効果があります。
鉢植えなどでは、大量に発生している場合には鉢ごと水につける方法もあります。
紫外線(UV-B)照射
UV-Bランプをつかった紫外線の照射も、ハダニだけでなくうどんこ病にも効果があります。ハダニは葉裏に生息するので、光反射シートを併用すると効果がUPします。
雑草の除草
落ち葉や周辺の雑草の除草も大切です。周辺に餌場があると、そこで発生したハダニがバラに移動してくることもあるため、雑草の除草もハダニ対策になります。
天敵の利用
家庭では難しいですが、ビニールハウスや温室などでは天敵を利用します。ハダニの天敵はチリカブリダニ、ミヤコカブリダニなどで、天敵製剤をつかった防除と農薬を併用することで、農薬の使用回数を減らすことができ、薬剤抵抗性の発生のリスクも減らせます。



このほか、無農薬でハダニを駆除したり予防する方法がいろいろあります。無農薬のハダニ対策は下記の記事も参考にしてください
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