ソルゴー(ソルダム)は、土壌改良の緑肥として使う以外にも、畑の周りに植えることでソルゴー障壁となり防風や、天敵温存植物(インセクタリープランツ)としても使えます。ここではソルゴーの栽培や使い方について説明します。
ソルゴー(ソルダム)の特徴と効果
ソルゴーは熱帯アフリカを原産地とするイネ科の一年草でソルダムとも呼ばれます。
食用や飼料用としても使われますが、農業では土にすき込んで肥料として利用する「緑肥」や草丈が高く伸びるため害虫の飛来や防風を防ぐ「ソルゴー障壁」、近年ではソルゴーに集まる虫が作物につく害虫食べてくれるため、天敵を誘引する「インセクタリープランツ」、天敵の餌になる昆虫を増やすことができる「バンカープランツ」としても使われます。
ソルゴーの品種
ソルゴーは飼育用や緑肥、障壁にあった品種があるので利用方法によって品種も選びましょう。
商品名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
緑肥用ソルゴー | 早生スーダン型 細茎で分げつ数が多く、やわらかいので耕運機で立毛のまま すき込みが可能です。 | |
やわらか矮性ソルゴー | 晩生ソルゴー型 茎葉がやわらかいので緑肥としてすき込みやすい 背丈が低いが倒れにくいのでバンカープランツに適します。 | |
短尺ソルゴー | 早中生で草丈1.5m~2m程度の小型の子実型。 耐倒伏性に優れ、風よけやドリフトガードクロップに使えます | |
ファインソルゴー | 早生のスーダン型 分けつ多く、細茎ですきこみやすい | |
グランデソルゴー | 草丈3m以上になる晩生大型ソルゴー。 根張りが強く圃場の風よけなどの障壁に適しています |
ソルゴーの栽培方法
種まき
露地栽培の場合、平均気温が15℃以上になるころが目安です。品種や地域にもよりますが5月~8月頃が種まきの時期です。
緑肥として栽培する場合は、ばらまきか条まきをします。播種後は3~5cm程度の覆土をし鎮圧します。株間を広くしすぎると茎が太くなり、緑肥として使いにくくなりますので注意しましょう。品種により播種量は変わるのでそれぞれの品種にあった量をまきましょう。
障壁として栽培する場合は、条間60cm、2条植え、株間は15cm~20cmが基本です。ナスなどの作物の障壁として使う場合は作物とソルゴーの間の通路は150cm以上は空けるようにしましょう。
肥料
基本的に肥料は不要です。やせ地などでは窒素1㎡あたり50g程度与えましょう。窒素を与えるとアブラムシがつきやすくなるため、天敵を増やしたい場合は作物の施肥時に、施肥してもよいでしょう。
収穫(刈り取り)
ソルゴーは成長がとても速い植物です。緑肥として使う場合は、収穫が遅くなると分解が遅くなり、固くなってすき込みにくくなるので、種まきから30日~40日、草丈150cm程度になったら刈り取って、細かくしてからすき込みましょう。トラクターなどを使う場合は、立毛のまますき込むことも可能です。
障壁や天敵温存植物として使う場合はには、穂がでると鳥が寄ってきて糞が作物についたり、花粉で作物が汚れる場合があります。出穂したら穂は刈り取りましょう。なるべく出穂が遅い品種を選ぶと手間が省けます。
緑肥への利用方法
すき込み時期
ソルゴーをすき込んだ後、腐熟期間が3週間~4週間必要です。作物の定植または播種の約1カ月前にはすき込んでおきましょう。
すき込み方法
刈払機などで刈り取ってすき込むこともできますし、ロータリーをつかい立毛のまますき込むことも可能です。草丈が大きくなりすぎた場合は、裁断機などを使い、裁断してからすき込むほうがよいでしょう。
すき込み時に、石灰窒素を1㎡あたり40g~60g一緒にすき込むと分解が早くすすみます。またすき込んだ後は、ロータリーで10日~2週間に1度、耕うんすると緑肥の腐熟が進みます。
障壁・害虫防除に使う場合
農薬の使い方に注意が必要です。天敵温存植物として使う場合には、ソルゴーには農薬は使いません。
例えばナス栽培にソルゴーは天敵温存植物(インセクタリープランツ)として使われますが、ソルゴーにアブラムシ類がつきます。ソルゴーについたアブラムシ類を捕食するために、ナミテントウなどが集まります。これらの虫が、ナスにつく害虫も食べてくれるます。
ソルゴーにつくアブラムシはナスにはつきません。そのためソルゴーには農薬を使わず、ナス栽培においてもこの天敵類に影響のない農薬を使う必要があります。
ナスのI防除については下記の記事で詳しく説明しています。