冬まきのほうれんそう栽培に被害を及ぼすハクサイダニ。ここではほうれんそうに適用のあるハクサイダニの農薬や、農薬以外の防除方法についてわかりやすく説明します。
ハクサイダニとは
ハクサイダニの生態・特徴
ハクサイダニは、ダニ目ハチダニ科のダニ類の一種で、夏の間土壌内で休眠卵で過ごし晩秋にふ化して春まで活葉を加害します。ムギダニに似ていますが成虫で体長0.7mm~1mmとムギダニより1周り大きく,体色は胴体部は黒色で脚は暗赤色です。
低温期に活発に活動するダニで、昼間は葉や地表に隠れ夕方や曇天時に活発に動き回ります。超夏した休眠卵が10月頃からふ化し11月~12月に成虫となり、産卵し3月頃に成虫になります。年間1~2世代で2世代が休眠卵となり夏を超え、翌年にふ化します。
ハクサイダニの被害・症状
ハクサイダニは葉を吸汁し加害します。被害葉は灰色から銀白色のかすり状の斑点が生じ、葉がカールしたり縮れをおこし次第に枯死します。ほうれんそうでは、芯葉部分に被害が多く株が萎縮し、進行が進むと枯死します。
ホウレンソウの他にはハクサイ、カブ、キャベツ、ダイコン、小松菜、水菜などのアブラナ科の他、レタス、シュンギク、ネギなどの冬野菜を加害します。



画像出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
ほうれんそうのハクサイダニの防除のポイント
ハクサイダニの登録農薬は多くないので、化学農薬での防除以外にも除草などの耕種的防除や土壌消毒などの物理的防除も併用して行いましょう。
前作でハクサイダニが発生した圃場では、残さは土にすき込まず、夏に土壌消毒を行い休眠卵を防除します。発生を確認したら薬剤をつかって駆除します。被害にあった株は、抜き取り圃場外で処分します。
また雑草も好むので、除草も重要です。夏に雑草が生えていると休眠卵にも快適な環境を与えてしまいますので、年間を通して行いましょう。
卵も虫も高温に弱いため、冬の暖かい時期にビニール掛けなどをして高温処理させたり、お湯で駆除されている農家さんもいます。農薬を使いたくない場合には試してみる価値はあるでしょう。
化学農薬散布のポイント
農薬を散布するときには、薬剤がハクサイダニに直接触れることが大切です。ノズルを使い葉の根元に十分量の薬剤を作物および土壌に散布しましょう。
ハクサイダニには、ピレスロイド系剤の殺虫剤は効果が高いですが決められた回数以上には散布できず、同じ薬剤を散布しつづけると抵抗性が発生する可能性が高くなります。
薬剤の抵抗性を防ぐため、同じ系統の農薬は使わずIRACコードを確認して、作用が異なる農薬をローテーション散布しましょう。
ほうれんそうのハクサイダニに適用のある農薬
ディアナSCとラディアントSCは、同一剤ですが名称が違う農薬です。
この他有機栽培にも使えるサンクリスタル乳剤は、野菜類のハダニなどに適用がある薬剤で、ほうれんそうのハクサイダニには適用はありませんが、小松菜に適用があるため、一定程度の効果が見込まれます。家庭菜園などでは、アーリーセーフが同じ有効成分の薬剤です。
この他の農薬については農家webの農薬検索データベースからほぼすべての農薬が検索できます。
化学農薬以外の防除方法
ハクサイダニの防除は、農薬をつかった化学的防除以外にも、残渣処理などの耕種的防除や、太陽熱を利用した土壌消毒などの物理的防除などを組み合わせたIPM防除が有効です。
農地を取り巻く環境や病害虫の対象種の個体群動態を考慮しつつ、「生物的防除」「化学的防除」「耕種的防除」「物理的防除」を組み合わせることで、病害虫の発生を経済被害を生じるレベル以下に抑えることをいいます。
- 「生物的防除」 病害虫の天敵を導入し、病害虫密度を下げる防除法
- 「化学的防除」 化学薬剤を使用して行う防除法
- 「耕種的防除」 栽培法,品種、圃場の環境条件等を整え、病害虫の発生を減らす防除法
- 「物理的防除」 防虫ネット、粘着トラップ、光熱等を利用して病害虫を制御する防除法
(IPM・・・Integrated Pest Management)
耕種的防除
雑草にもハクサイダニは発生します。圃場・圃場周辺の雑草は徹底しましょう。
残さは卵が残っている可能性があります。残さはすき込まず、圃場外で廃棄するか焼却処分しましょう。
被害株は抜き取り、処分します。熱に弱いため焼却処理が確実です。
被害がひどい圃場は、翌年はハクサイダニが好まない作物を作るなどの対策をおこないましょう。
物理的防除
休眠卵対策として、土壌消毒が有効です。
暑さに弱いため、薬剤をつかわず夏の太陽を利用した太陽土壌消毒も可能です。ただし乾燥した状態や温度が40℃以下であると効果が薄いので、かん水をしビニール被覆をして45℃以上で3日間続くことが条件です。
ふ化した虫の状態の方が、暑さによわいので(35℃程度で死滅)発生後はお湯や短時間のビニール掛けで効果を出している農家の方もいます。
生物的防除
ハクサイダニは冬に活動するダニで、通常虫は冬には活動が弱まり、天敵がいないため増加しているといわれています。
ハダニの天敵であるカブリダニもハクサイダニにも効果があるのではないかという研究もあるようですが、カブリダニ類は寒さに弱いので難しいかもしれません。
まとめ
ハクサイダニは、農薬の使用量が減少して近年増えているとされています。ハクサイダニに適用のある農薬は少ないので、抵抗性を発生させないためにも事前の予防が重要です。

この他ほうれん草の病害虫の防除については、下記で詳しく説明していますので参考にしてください。
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