ブロッコリーの黒すす病に効く農薬、防除方法について

黒すす病は昔からある病気ですが、近年被害が広がっています。ここではブロッコリー栽培に大きな被害をもたらす黒星病に効く農薬やその他の防除方法について説明します。

黒すす病とはどんな病気？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

黒すす病の特徴

黒すす病は、キャベツやブロッコリーなどのアブラナ科に発生する病気で、病原菌はアルタナリア属菌のカビ（糸状菌）の一種です。黒すす病菌の胞子は大量に次の胞子（分生子）を形成し、風や雨で飛散して空気伝染して広がります。

発病適温は25℃前後で、4～10月の高温、多湿時に被害が発生しやすくなります。保菌種子が伝染源となって種子から苗へ伝染したり、土にも長く生存するため土壌伝染にも注意が必要です。

黒すす病の症状

ブロッコリーの場合、幼苗の頃や育苗時の葉に発生し、その後花蕾にも広がります。

発生初期は葉や茎に数㎜の小さな灰～黒色の円形の病斑が現れます。その後黒くなって直径1cm～3cm程度の輪紋症状となり全体に広がっていきます。花蕾部分は発生初期は上部に黒カビが発生し、放置すると花柄にも広がります。

写真提供：HP埼玉の農作物病害虫写真集

ブロッコリー栽培　黒すす病の防除方法

ブロッコリー栽培の黒すす病の防除は、花蕾に被害が及ばないようにすることが最大のポイントです。

黒すす病は種子感染や土壌感染します。連作は避け、種子は消毒済みのものを使用しましょう。空中感染しますので、セルトイでの育苗では灌水は避け、底面給水で行います。

農薬は、発生前の予防散布、発生初期の散布が重要です。化学農薬は定植30⽇後と花蕾形成始頃の2回の予防防除が効果的です。

化学農薬散布のポイント

黒すす病は発病してからでは、手遅れになることもあります。発生が増えている地域では、定植30日後と花蕾形成開始頃の2回。台風や大雨があった場合は、そのあとに追加で散布します。

黒すす病に適用のある農薬は、ピラジフルミド水和剤、ペンチオピラド水和剤、アゾキシストロビン水和剤などがありますが、FRACコードは「７」のSDHI殺菌剤もしくは、FRACコード「11」のQoI殺菌剤のみです。

農薬を使う際には抵抗性を防ぐために、同じ系統の農薬は続けて使わないローテーション散布を行う必要がありますが、2系統のみのため交互に使う、もしくは今年使った農薬は使わず、来年は違う系統を使うなどをしましょう。

ブロッコリー栽培　黒すす病に効く農薬

散布時期	農薬名	希釈倍率	使用液量	使用期間	使用回数	使用方法	IRACコード	備考
発生前～発生初期	アミスター２０フロアブル	2000倍	100〜300㍑/10a	収穫前日まで	3回以内	散布	11	作物に侵入する前の病原菌に対して予防効果があり、 侵入した病原菌に対しても治癒効果があります。 べと病、菌核病と同時防除が可能です
発生前～発生初期	アフェットフロアブル	2000倍	100〜300㍑/10a	収穫前日まで	3回以内	散布	7	浸達性と残効性にも優れていることから、 予防効果と治療効果の両方を持った殺菌剤です。 菌核病、根朽病と同時防除が可能です
発生前～発生初期	パレード20フロア ブル	2000〜4000倍 100倍	100〜300㍑/10a ｾﾙ成型育苗ﾄﾚｲ1箱または､ ﾍﾟｰﾊﾟｰﾎﾟｯﾄ1冊(約30×60cm､ 使用土壌約1.5〜4㍑)当り0.5㍑	収穫前日まで 育苗期後半〜定植当日	3回以内	散布 灌注	7	本農薬が開発した新規のＳＤＨＩ剤で、 胞子発芽、菌糸伸長を阻害する高い効果があります 育苗期に灌注で使え、安全性の高い薬剤です。

ブロッコリーの黒すす病に適用のある農薬は、多くありませんが農家webの農薬検索データベースからほぼすべての農薬が検索できます。

化学農薬以外の防除方法

黒すす病に強い品種の検討

晩生品種より早生品種の方が発生が多いともいわれますが、早生種でも黒すす病に強い品種「ブロッケンHP」や「ガルベス」の他、中晩生種「蒼麟」などがあります。黒すす病の被害が多い地域では、JAなどに相談してみましょう。

圃場管理

ブロッコリーの連作の他にも、アブラナ科の連作は発生の一因です。特に前年の被害が出た圃場では、連作は控えましょう。

また育苗中は高温多湿は避け、被害葉や茎は圃場外に持ち出して廃棄しましょう。圃場に埋めると土壌感染の原因にもなります。

まとめ

ブロッコリー栽培では、最近増加した黒すす病の他にも、ベト病や菌核病、黒腐病、黒斑病などの病気にもかかりやすくなります。花蕾に病気が見つかると出荷できず、大きな損害になります。まずは予防につとめ、よく圃場を観察して早期発見につとめましょう。