アザミウマ類は世代交代が早く薬剤抵抗性がでやすいため、防除は化学農薬だけに頼らず天敵薬剤をつかった生物的防除や、物理的防除などを組み合わせる必要があります。ここではアザミウマ類に有効な天敵製剤について、使い方や影響の少ない農薬について説明します。
アザミウマ類の天敵は?
アザミウマを捕食する天敵には、カメムシ類(オオメカメムシ、オオメナガカメムシ、タバコカムミカメ)やダニ類(ククメリスカブリダニ · スワルスキーカブリダニ、キイカブリダニ)の他、最近では沖縄で土着天敵として発見されたアリガタシマアザミウマも広く知られています。
天敵製剤とは
天敵製剤とは、害虫の捕食するその害虫の天敵となる生物を製剤化させたもので、農薬として登録されています。
栽培期間中に天敵を放飼し環境を整えることにより、天敵を定着、増殖させ害虫の捕食を促します。主に施設栽培で使われますが、最近では露地栽培などでも効果がでています。
生物ですので安全性はもちろん、抵抗性害虫にも効果があり、化学農薬のように薬物抵抗性を発生させることもなく上手く定着させれば長期間防除が可能です。IPMの一環として天敵に影響のない化学農薬と組み合わせて使われます。
農地を取り巻く環境や病害虫の対象種の個体群動態を考慮しつつ、「生物的防除」「化学的防除」「耕種的防除」「物理的防除」を組み合わせることで、病害虫の発生を経済被害を生じるレベル以下に抑えることをいいます。
- 「生物的防除」 病害虫の天敵を導入し、病害虫密度を下げる防除法
- 「化学的防除」 化学薬剤を使用して行う防除法
- 「耕種的防除」 栽培法,品種、圃場の環境条件等を整え、病害虫の発生を減らす防除法
- 「物理的防除」 防虫ネット、粘着トラップ、光熱等を利用して病害虫を制御する防除法
(IPM・・・Integrated Pest Management)
天敵製剤の使い方
それぞれの天敵製剤によって、生育温度や効果的な使い方が異なりますので、必ずその製剤の使い方を読んでから使いましょう。共通する使い方について説明します。
- 天敵製剤の成虫は、長く生きられません。散布計画をしっかりとたて、取得したその日にすべて放飼します。
- 害虫が多くいると、天敵製剤の効果は薄れます。多発している場合は、事前に化学農薬を散布しアザミウマ類をできるだけ減らしてから散布します。
- アザミウマ類以外の防除で農薬を散布する場合には、天敵に影響のない薬剤を選んで散布します
アザミウマ類に適用のある天敵製剤
アザミウマ類に適用がある天敵製剤には下記のようなものがあります。
アザミウマ類の防除について
アザミウマは化学農薬を使って防除する場合には異なる系統の農薬を散布するローテーション散布をする必要があります。また化学農薬だけに頼らず、生物農薬や防虫ネットなどの物理的防除も抵抗性アザミウマを出さないためにも重要です。