セスジスズメの幼虫は、サトイモの葉を食害する害虫です。ここではセスジズズメ(スズメガ)の防除方法について、農薬や農薬をつかわないその他の対策について説明します。
セスジスズメの特徴・被害
セスジスズメは、チョウ(鱗翅)目スズメガ科の蛾の一種で、幼虫はサトイモやヤブガラシを好んで食べます。幼虫は8cm~10㎜前後まで大きくなるので、一日で葉を食べつくすほどの食害が大きくなります。
成虫は体長25㎜~35㎜の茶褐色で翅に濃い茶色の筋が入っている蛾で、古い葉に1個づつ産卵します。幼虫はイモムシ上で、色は黒・緑・灰色と変わりますが、黄色の目玉模様を持つのが特徴です。
6月から10月頃に発生します。農薬がよく効くためハスモンヨトウなどの防除をしている場合は発生しませんが、有機栽培や無農薬栽培などをしている圃場に発生しやすい害虫です。



画像出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
さといも栽培 セスジスズメの防除方法
セスジズズメはサトイモの苗が小さい6月頃から発生しますが、8月~9月が一番大きな被害が出やすい時期です。
セスジズズメの幼虫は大きくなると見つけやすいので、大きくなったイモムシは捕殺しましょう。葉の縁から切り取るように食べるので、被害葉を見つけたら葉裏にいる幼虫を捕殺します。若齢幼虫の時期であれば農薬もよく効きます。他の防除と一緒に行うとよいでしょう。
またヤブガラシも好むため、周辺の雑草防除も重要です。
化学農薬散布のポイント
セスジズズメに適用のある農薬を選ぶときには、他の害虫が発生している場合には、その害虫にも効果のある農薬を選ぶとよいでしょう。
セスジズズメが発生しやすい時期には、ハスモンヨトウ、アブラムシ類が発生しやすくなります。
いづれの場合も農薬の散布は、薬剤の抵抗性を防ぐため、同じ系統の農薬は使わずIRACコードを確認して、作用が異なる農薬をローテーション散布しましょう。
里芋栽培 セスジズズメ(スズメガ類)に適用のある農薬
散布時期 | 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期間 | 使用回数 | 使用方法 | IRACコード | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
害虫発生初期 | ディアナSC | 2500〜5000倍 | 100〜300㍑/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 | 5 | 速効性と浸透移行性を持ったマクロライド系殺虫剤 ハスモンヨトウと同時防除が可能。 |
害虫発生初期 | アディオン乳剤 | 2000〜3000倍 | 100〜300㍑/10a | 収穫7日前まで | 5回以内 | 散布 | 3A | スズメガ類に適用のある速効性と残効性に優れた薬剤 アブラムシ類、ハスモンヨトウと同時防除が可能です。 浸透移行性はありません |
害虫発生初期 | プレオフロアブル | 1000〜2000倍 | 100〜300㍑/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 | UN | スズメガ類に適用のある速効性と残効性に優れた新しい薬剤 ハスモンヨトウと同時防除が可能。 |
害虫発生初期 | ベニカAスプレー | 原液 | – | 収穫7日前まで | 5回以内 | 散布 | 3A | 有効成分はアディオン乳剤と同じで、希釈の手間が不要な 家庭菜園で使いやすい薬剤です。 アブラムシ類、ハスモンヨトウと同時防除が可能です。 |
サトイモのセスジズズメに適用のある農薬は、多くありませんが農家webの農薬検索データベースからほぼすべての農薬が検索できます。
化学農薬以外の防除方法
捕殺する
大量発生はしないので、薬剤を使いたくない場合は割り箸やピンセットなどを使い捕殺しましょう。
圃場周辺の除草
セスジスズメは、サトイモの他にブドウ科のヤブガラシ、ノブドウやホウセンカなども好みます。周辺の雑草に産卵することもあるので、雑草は取り除いておきましょう。除草は他の病害虫の予防にもなります。辺にハイマダラノメイガが好む雑草がある場合には、雑草の防除が必要です。
農業アプリを活用しましょう
今まで農業日誌や栽培記録、ノートやパソコンで管理していたという人には、農業に役立つアプリを活用しませんか。農家webの「かんたん栽培記録」アプリはスマホから作物と地域を入力するだけで、防除暦、栽培カレンダーが自動表示。実際の栽培記録はタップ一つで登録可能。自社の「農薬検索データベース」「かんたん農薬希釈計算アプリ」と連動しているので、散布したい農薬をいれればラベルをみなくとも希釈計算も可能で、散布回数もカウントしてくれます。また自分の使っている農薬を登録するだけで、混用が可能な農薬もわかります。
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