新規就農を個人事業主として始めた場合に、開業にかかった費用は確定申告のときにはどのようにしたらよいのでしょうか。ここでは個人事業主として農業を始めた場合の開業費の確定申告の処理方法について説明します。
開業費とは
開業費とは、事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出するコストです。税務上は「繰延資産」という資産にすることができ、60か月の均等償却又は任意償却が可能です。
繰延資産にするかどうかは任意で、全額経費にしても問題ありません。しかし初年度は利益がほとんどでないことが多いため、費用にすると節税効果がないため繰延資産にし、翌年以降に費用にすることで節税効果が期待できます。
開発費の繰延資産は、任意償却なので自由に費用にする金額が選べます。固定資産のように 5年間で均等に償却してもよいですし、利益がでた年に一括で償却してもよいので、一番節税効果が高いときに費用にすることができます。
開業費として認められるものは
農業を始めた年には、開業準備として農機具や土地、ビニールハウスだけでなく、研修費やセミナーなどの多くの費用がかかりますが、すべてのコストが繰延資産の開業費にできるわけではありません。
開業費にできる費用は、下記の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 開業日までに支出した費用であること
- 開業準備のために特別に支出する費用であること
- 農機具や備品は10万円以下であること
農機具などは、開業日の前までに購入したものであれば10万円以下であれば開業費にすることができますが、10万円以上の場合は固定資産として減価償却資産にする必要があります。
開発費にできるかどうかは判断が難しいので、迷った場合はお近くの税務署か税理士に確認しましょう。
確定申告の処理の方法
白色申告の場合
開業した年の費用にする場合は、それぞれの支出の費用科目に計上しましょう。繰延資産として計上する場合は、開業費にかかった金額の合計を収支内訳書の2ページ目の「減価償却資産の計算」の欄に記入します。その年に償却しない場合は、償却費に入力する必要はありません。償却するときには、任意の金額を償却費のところに記入し、その他の減価償却資産の合計を収支内訳書の減価償却費に入力します。

青色申告の場合
開業した年の費用にする場合は、それぞれの支出の費用科目に計上しましょう。繰延資産として計上する場合は、開業日に開業費の合計金額を「開業費(繰延資産)」で計上します。
例えば開発費の合計が20万円であった場合
開業日の仕訳
開業日に開業費の合計を資産に計上します。開業日前に支払っているので事業の資金ではなく個人で立替した扱いになるため事業主借で貸方は計上します。元入金を使う場合もあります。
借方 | 貸方 |
---|---|
開業費(繰延資産)200,000 | 事業主借(元入金) 200,000 |
開業費を償却した時
開業費の償却は任意で計上することができます。仮に今年の償却を4万円とした場合は下記の仕訳を決算仕訳として計上します。
借方 | 貸方 |
---|---|
減価償却費(開業費償却費)40,000 | 開業費 40,000 |
新規就農者のための補助金
新規就農には多くのコストがかかります。新規就農者向けの補助金が国や地方自治体にはありますので、そちらも活用しましょう。
農業用確定申告ソフトを活用しましょう
1年の収支を一度に入力するのは手間がかかります。できれば毎月、できれば3か月に一度は領収書などをまとめて売上や費用を計算しておくのが理想です。わかっているけど、それができないという人は農業用の確定申告アプリをつかってみませんか。
かんたん農業確定申告は、パソコンがなくともスマホやタブレットを使って家計簿感覚で売上や費用を入れていくだけで白色申告に必要な収支内訳書の作成ができるアプリ。
面倒な減価償却費の計算や、中古資産の耐用年数の計算、専従者給与の計算など手順にそって入力するだけで、すべてソフトが自動計算してくれます。ダウンロード不要でメールアドレスだけで誰でも無料で使えるアプリです。

まとめ
個人事業主の農家の開業費と開業費償却ついて説明しましたが、開業費の内容は難しいため、開業費の処理については、不安な場合は最寄りの税務署や税理士、JAなどに確認してみましょう。

本サイトの内容は、国税庁の決算のしかた(農業所得編)、令和6年分収支内訳書(農業所得用)の書き方、などの手引きや法令解釈等を参考に記載していますが、税務アドバイスを目的としたものではありません。実際の申告では、税務署や税理士に確認の上、ご自分の判断で申告を行ってください。